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マンガ原作者・白井カイウと作画家・出水ぽすかが創業者ガブリエル・シャネルに迫る。シャネル・ネクサス・ホールで「MIROIRS – Manga meets CHANEL」が開催中

東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、『約束のネバーランド』の原作者・白井カイウとマンガ家・出水ぽすかとシャネルのコラボレーション展覧会「MIROIRS – Manga meets CHANEL」が開催中だ。会期は6月6日まで。

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景

 東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、マンガ原作者の白井カイウと作画家の出水ぽすかが、シャネルとコラボレーションした展覧会「MIROIRS – Manga meets CHANEL」が開催中だ。会期は6月6日まで。

 白井と出水は『週刊少年ジャンプ』で連載され、昨年完結した『約束のネバーランド』の原作担当と作画担当。本展は、2人とシャネルとの協業により、世界で認知されている日本のマンガ文化を通して、創業者のガブリエル・シャネル、そしてシャネルというブランドの哲学をメッセージとして表現した。

銀座シャネルビル1階の「MIROIRS – Manga meets CHANEL」のディスプレイ

 本展では、シャネルというブランドからインスピレーションを受けて、白井と出水が描き下ろしたマンガ作品をもとに、その物語に込められた思いをシャネル創業者のガブリエル・シャネルやブランドにまつわる資料とともに表現した。

 展示はマンガの3つの章「Sorcières ―魔女―」「Menteuse ―嘘つき―」「Corneile noir  ─カラス─」で構成。エントランスでは、「MIROIRS(ミロワール、鏡)」と名づけられた展覧会の序章にふさわしい、東京の夜景が映し出される鏡のコリドーが用意されている。 

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」のエントランス「序章~ミロワール(鏡)に映し出される東京」

 今回のマンガ制作にあたり、当初、白井と出水はパリでの取材を行う予定だった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で渡仏が難しくなったため、資料やオンラインビューイングをもとにマンガを作成。作品の舞台も東京となった。このエントランスでは、東京のナイトスケープの映像と、作品の主人公たちのイラストによるインスタレーションが、鏡に反射しと様々な面を見せ、東京を舞台に、ガブリエルの意志が引き継がれた様が表現される。

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」のエントランス「序章~ミロワール(鏡)に映し出される東京」

 エントランスを抜けると、ガブリエル本人の写真や、彼女の愛した品々、白井と出水の言葉が、豪奢な額縁に額装され壁面に並ぶ。2人はガブリエルという強い個性を持つ人物をリサーチしてマンガをつくりあげたが、この壁面はその表出である資料や品々に対峙した様が視覚的に表現されている。

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景

 この壁面にはマンガの3つの章に対応した3つの入口‎が用意されている。第1章「Sorcières ―魔女―」は、本や空想の世界が大好きな少女の物語だ。ガブリエルは生前、鏡張りの階段の上にあるアパルトマンで過ごし、そこには彼女が集めた各国の調度品や書籍が並んでいた。白井と出水は、このアパルトマンでインスピレーションを得ていたガブリエルと空想の世界で遊ぶ少女の姿を重ね、マンガを描きあげた。

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より
「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より

 展示では、カラーイラストやマンガのラフのアップとともに、フランク・ホーヴァットやセシル・ビートン、カール・ラガーフェルドが撮影した鏡張りの階段とガブリエルの写真などが展示される。

展示風景より、セシル・ビートン《ガブリエル・シャネル》(1965)

 第2章「Menteuse ―嘘つき―」は、型にはまらない様々な顔を持ち、東京という街を謳歌する女性が主人公。この章では、ガブリエルが「女性そのものを感じさせる、女性のための香り」として世に送り出した香水「シャネル N°5」を題材に、自分という人間を堪能するひとりの女性を描き出している。ここでは同時に、代表的な香水「シャネル N°5」にまつわる資料や、ジャン・ドゥ・ゲヌロンによるガブリエルの肖像画なども展示されている。

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より
「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より
「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より、シャネルNo5の香水瓶
「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より、左からベレニス・アボット《ガブリエル シャネル》(1927)、ジャン・ドゥ・ゲヌロン《ガブリエル シャネルの肖像画》(1939)

 第3章「Corneille noir  ─カラス─」では少年が主人公となる。ステレオタイプな価値観のなかで、息苦しさを抱える少年が、装うことで自らの道を見つけ出していく物語だ。原作の白井は、時代のステレオタイプにあらがい、自由を切り開いていったガブリエルの反骨精神を、少年にも投影した。

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より

 会場では、作中の彩色されたページを表現するように、白と黒を基調とした会場に鮮やかなカラーの柱とイラストを表現。また、50年代のリップスティックや広告ビジュアル、ジャン・モラルによるガブリエルの写真などが展示される。

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より
「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より、左が1942年にアメリカで展開されたシャネルの香水化粧品の広告ビジュアル

 ガブリエル・シャネルというファッション史に多大な影響を与えた人物像を、マンガという表現を通して新たなビジュアルをつくりあげた本展。マンガ表現の新たな試みに注目したい。

「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より
「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より
「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より
「MIROIRS – Manga meets CHANEL」展示風景より

編集部

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