星や結晶、波などをモチーフとするドローイングを起点にインスタレーションを手がけるブラジル出身のアーティスト、サンドラ・シント。その個展「コズミック・ガーデン」が、銀座メゾンエルメス フォーラムでスタートした。会期は7月31日まで。
シントは1968年生まれ、現在サンパウロ在住。日本では2008年に豊田市美術館で、15年には青森公立大学国際芸術センター青森での滞在制作に参加し、ブラジル国内外での展覧会やレジデンシーなどの交流も行っている。
会場は、水色の壁が立てられた展示室を「朝」として、すべての壁が紺色に塗られた小さな展示室の「夜」への移り変わりを見せるように構成。それぞれの壁面にはキャンバスが掛けられ、細い線によるドローイングがその境界線をまたぐように空間全体に広がっている。
シントは今回、6名のアーティストとともに2週間をかけてドローイングを制作。会場の構成についてシントは、「この建築のなかで特徴的なガラスのテクスチャーは、レンゾ・ピアノが日本庭園の水から着想を得たものだということを聞き、風や陽の光、水を感じ取ることのできる空間にしようと考えました。また、建物の角の丸みが扇子のようだと思ったので、角にも小さな作品を配置しました」とコメントしている。
続く「夜」の展示室では壁面だけでなく、床のカーペットやクッションにもドローイングが展開。ここでは座ってリラックスしながら、星空のような空間を楽しむことができる。
シントはこのインスタレーションについて、「ずっとカーペットの作品をつくりたいと思っていましたが、ブラジルでは実現できませんでした。今回は親密な場をつくりたいと考え、そのための技術も使うことができたので、やっと願いを叶えることができました」と語る。本展の終了後には、日本の学校や図書館など、子供の集まる場所へのカーペットの寄贈を考えているという。
時間や時代の移ろいを表現するシントのドローイングを体感することのできる本展。空間の構成から細部にいたるまで、会場に足を運んでじっくりと鑑賞してみてはいかがだろうか。