2020年3月21日に開館を迎える京都市京セラ美術館が12月21日、プレオープニングイベントとして「CELEBRATING COLORS!」を開催した。
同館の建築はすでに竣工しており、およそ85年前の1933年に開館した京都市美術館の姿を留めながら、現代に見合った美術館としてアップデート。建築家・青木淳がリニューアルを指揮し、館長にも就任している。
>>建築家として、館長として。青木淳は京都市京セラ美術館をどこに導くのか?
同館開館まで3ヶ月となるのを機に行われたのが、今回の「CELEBRATING COLORS!」だ。
イベントには門川大作京都市長をはじめ、青木淳、高木正勝、鬼頭健吾、髙橋匡太らが登壇。門川市長は、同館を「文化都市・京都の発展に大きな役割を果たしてきた」と讃えながら、時期は明言しなかったものの「国の重要文化財指定を目指す」と意気込んだ。
イベントは、美術館前に新たに設けられたスロープ状の広場「京セラスクエア」と、北西エントランス1階のガラス部分「ザ・トライアングル」で展開。
京セラスクエアでは、この日だけの特別な舞台セットの前で、高木正勝が最新作《Marginalia(マージナリア)》を披露。寒空の下、多くの観衆を魅了した。
またザ・トライアングルでは、鬼頭がガラス面に200メートル分という膨大な色とりどりのカッティングシートを貼り、床には数千枚の手鏡を敷き詰めた。《ghost flowers》と題されたこのインスタレーションでは、鏡が映像と周囲の風景を反射。鬼頭は「見る人と作品が連動するような空間を目指した」と話す(同作は20年5月31日まで展示される予定)。なお、鬼頭は3月21日以降、このザ・トライアングルの地下と本館中央でも作品を展示する。
この日は、京都市京セラ美術館の点灯式も実施。ライトアップを手がけた髙橋は美術館の設計段階から関わってきたといい、「どこからでも見られるように照明が設置されており、夜間景観を整備することを意識してプランニングした」と説明。色とりどりの光で美術館が照らされると、多くの人々がスマートフォンのシャッターを切っていた。
髙橋による光の演出は、重厚な帝冠様式に現代のデザインが融合した本館を白色光で照らし出すとともに、一定時間ごとに二十四節気をイメージした色彩で変化する演出を加えるというもの。ライトアップは毎日の日没~午後10時まで行われ、岡崎公園全体の夜を彩る。
同館のこけら落としは、開館記念展「京都の美術 250年の夢」(〜12月6日)と「杉本博司 瑠璃の浄土」(〜6月14日)。いまから開館が待ち遠しい美術館だ。