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上野の旧博物館動物園駅が一般公開を開始。羊屋白玉演出の新作インスタレーションと建築を楽しむ

1933年に京成電鉄の駅として開業し、97年に営業停止した旧博物館動物園駅が11月23日より期間限定で公開を開始。羊屋白玉演出の新作インスタレーションが展開される。

インスタレーションの風景

 上野公園の一角にある西洋風の豪奢な建物について、その正体を知らない人も多いかもしれない。ここは、1933年に京成電鉄の駅として開業し、97年に営業停止、2004年に廃止された東京・上野の旧博物館動物公園駅だ。

旧博物館動物公園駅

 開業当時、駅舎の建設予定地が御料地であったため、御前会議での昭和天皇の勅裁を受けて建設。駅舎内外の意匠は西洋風の荘厳なつくりとなっており、開業以後、東京帝室博物館(現・東京国立博物館)や恩賜上野動物園の最寄り駅として利用されてきた。

いまも京成電鉄が所有している

 利用者の減少により営業休止をした後も、18年4月には鉄道施設として初めて「東京都選定歴史建造物」に選定された歴史的な建築物であるこの駅舎。今回、京成電鉄と東京藝術大学が協働し、このスペースを再利用したプロジェクトが始まった。

新設された扉

 「アナウサギを追いかけて」は、社会包摂をテーマにしたプロジェクト「UENOYES(ウエノイエス)」の一環として行われるもので、旧博物館動物公園駅駅舎を舞台にした鑑賞型のインスタレーション。作・演出を羊屋白玉、舞台美術をサカタアキコが手がける本作では、羊屋が国立科学博物館や上野動物園、京成電鉄で働く人々にインタビューし、ストーリーを書き下ろした。

左から羊屋白玉、森健人、サカタアキコ

 21年前から姿をとどめている駅舎に入ると、まずその荘厳なドーム型の天井と、巨大なアナウサギが地下へと潜ろうとする立体作品が来場者を迎えてくれる。駅構内には、かつての京成電鉄のCMソングである「グングン京成」をもとにした音楽と、時折通過する京成電鉄の電車の音が響く。

天井の意匠にも注目
地中に潜ろうとするアナウサギ

 駅舎の歴史を映すスライドを見ながら階段を下りる。するとそこには、いくつもの動物の骨格標本が現れる。これらは、今回のために国立科学博物館研究員・森健人が手がけた3Dプリントレプリカ。その中心にひとつだけある本物の骨格標本は、この駅が営業を停止したのと同じ97年に亡くなったジャイアントパンダのホアンホアンの頭蓋骨だ。上野動物園で人気を博していたこのパンダは普段公開されておらず、駅舎と時間を経て、姿を現した。

ホアンホアンの骨格標本

 公開日の全日程で行われる「触れる鑑賞ツアー」では、ウサギの仮面をつけたパフォーマーによるガイドによって、旧博物館動物公園駅の歴史とともにこれら駅舎内をめぐることができる。

ガイドパフォーマー

 時が止まったような駅舎内の落書きや、細かな意匠、そして新設された日比野克彦デザインによる出入口扉など、建築とともに作品を楽しめる期間限定のこの機会をお見逃しなく。

看板も当時のまま残されている
切符売り場(立ち入りは不可)

編集部

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