愛知県の岡崎市美術博物館で、京都市美術館が所蔵する美人画の名品を紹介する展覧会が開催される。
美人画は、江戸期の浮世絵の伝統を受け継ぎつつ、明治期以降ひとつのジャンルとして確立した。理想の女性美を描きだすことを目指した美人画だが、描く対象は時代や場所柄を反映して多様化。優美で格調高い女性の姿のみならず、市井で暮らしを営む女性のありのままの姿や、モダンで進歩的な自立した女性像など、多彩な女性の美が描かれてきた。
京都市美術館は、明治期以降の京都を中心に制作された美術・工芸品を多く所蔵し、特に京都画壇隆盛期の美人画の充実は他に類を見ない。長い伝統のなかで培われた、京都ならではの文化や生活を題材とした作品も豊富だ。
本展では、そのコレクションのなかから美人画の名品60点を展示。「京都に咲いた美人画」「美人画のさまざま」「美人画の展開」という3つのテーマで、明治から平成までの美人画の変遷をたどる。会期中には、京都市美術館前学芸課長・尾崎眞人を講師に迎え、講演会も開催される。