指で唯一無二の写真世界をつくりだす。hIDE GALLERYで開催中の澄毅個展をチェック

写真に穴やスリット (切れ込み)を入れ、そこに光を透した写真作品を発表してきた写真家・澄毅(すみ・たけし)。その個展「Photographs, lost and born.」が7月8日〜23日の会期で東京・自由が丘にあるhIDE GALLERYで開催される。

澄毅 The dream of becoming a deer

 東京・自由が丘にあるhIDE GALLERYで写真家・澄毅(すみ・たけし)の個展「Photographs, lost and born.」が開催される。会期は7月8日〜23日。

 澄は1981年京都生まれ。「網膜の先の世界を見出す」ことをテーマに、写真に穴やスリット (切れ込み)を入れ、そこに光を透した写真作品を発表してきた。agnès b.コレクションに加えられたことをきっかけに2013年から20年までパリに在住。現地で個展などの作品発表を行い、日本帰国後は京都を拠点に制作と発表を続けている。

 hIDE GALLERYでの初個展となる本展では、洗練されたスリット作品に加えて、写真に糸を用いて造形が「生まれでる」世界を構築。写真という複製可能なメディウムでありながらも、それぞれの作品は一点のみのものだ。「切る」という削ぎ落とす行為と、「糸を加える」という足し算の、一見相反する行為が共存して唯一無二の世界を生み出している。

澄毅 The human-nature nexus
澄毅 halo ring

 子供の頃から「目に見える世界に依存しつつ、その端から垣間見える虚構について考えを巡らせてきた」という澄。その制作についてステイトメントで次のように述べている。

 「目よりも私は指を信用したように思います。カメラを持ち、シャッターを切る時、カッターを持ち、紙にスリットを入れていく時、時にペンを持ち線を描くときにも針を持ち糸を通す時も、この指の感じる豊かな世界を信じているように思います。私は見える世界に生きている。しかし世界はその先にも在る。その先に指を伸ばし捉えたい。その願望が私の作品の根底にはあります」。

 本展の会場となるhIDE GALLERYは、東京のアートブックストア「BOOK AND SONS」と、1963年に創設された神戸の老舗画廊「KAWATA GALLERY」がプロデュースする現代美術ギャラリー。世界中のアートブックのセレクトを通じて培われた視点と、数多くのアートフェアに出展するなど60年の歴史を持つギャラリーの豊かな経験により、新しい時代のアートをキュレーションし、未完成の才能の発掘やまだ見ぬ価値や文化の発信を続けている。

hIDE GALLERY内観

編集部

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