韓国・ソウルと釜山に拠点を置くギャラリー・SEOJUNG ART(ソジョン・アート)が、東京・有楽町にあるM5 Galleryで4人の韓国人アーティストを紹介するグループ展「Instead of a result, a process」を開催する。会期は6月14日〜20日。
本展では、イ・チュンファン、ホン・スン、ホン・ソンジュン、ピ・ジョンウォンという世代を超えた4人のアーティストをフィーチャー。アーティストが探求する主題と、それが絵画や彫刻の表現にどのように影響を与え、決定し、変化させるかという根源的関係を掘り下げるという。
キュレーションを手がけるのは、イタリアのミラノと韓国のソウルを拠点に活動するイタリアのインディペンデント・キュレーター、著述家、研究者であるヴァレンティナ・ブッツィ。ジャック・ラカンの精神分析をもとに、4人のアーティストの芸術的実践において重要な位置を占める身振りや手振りなどのジェスチャーに着目し、その作品における複雑な世界観がいかに顕在化して描き出されるかを考察する。
伝統的な水墨画からキャリアをスタートし、その後、数十年にわたって完全な抽象化とカラーフィールドペインティングへの移行に取り組んできたイ・チュンファン(1956年生まれ)。本展では、純粋な抽象性を特徴とした新作絵画3点を発表し、キャンバス上の点と線によって表現されるグラデーションを通し、作品の深さと本質を明らかにする。
風景の知覚の方法論を再解釈し、現実の領域と視覚的記憶の変容を再構成するホン・スン(1959年生まれ)は、本展で絵画作品2点と彫刻作品1点を展示。自然や人間、社会・政治的な側面から得たイメージをキャンバス上で組み替えることで、イメージが持つ新たな特性を発見する。
ホン・ソンジュン(1987年生まれ)は、絵画とその知覚の研究に深い関心を持つアーティスト。無数にある組み合わせのなかで様々に構成される要素を探求し、ゲシュタルトの心理学的認識を独自に発展させてきた。写真から出発し、色ごとに分解され、ひとつずつ並べられる絵画的実践を通じ、自己の内面を探求する。
本展最年少のピ・ジョンウォン(1993年生まれ)は、抽象化を自己の記憶の探求、表現、解決するための美学、ジェスチャー、そして象徴の領域としてとらえるアーティスト。韓国の墨やジェッソを純粋な抽象表現としてネガティブスペースに使用し、その後、厚くて強いマチエールを何層も塗り重ねることで、ネガティブスペースに生まれる亀裂や集積のプロセスを精緻に表現する。
内的・外的な世界観をジェスチャーに昇華させ、芸術の根本的な探求を余すところなく具現化している4人のアーティストの実践をぜひ会場で確かめてほしい。