テクノ、伝統工芸、NFT を融合したアートピース「TechnoByobu」。ルー・ビーチによるYMOのアルバムアートワーク《Electronic Fan Girl》が登場

テクノと伝統工芸を融合したNFT証明書つき作品「TechnoByobu(テクノ屏風)」シリーズ。その第1弾として、ルー・ビーチによるYMOのアルバムアートワークを洋金箔のうえに施した《Electronic Fan Girl》が受注販売を開始した。

「TechnoByobu」の《Electronic Fan Girl》

 エレクトロニック・ミュージックを中心としたレコード会社、ユーマ株式会社が手がける、テクノと伝統工芸を融合したNFT証明書つき作品「TechnoByobu(テクノ屏風)」シリーズ。その第1弾として、ルー・ビーチによるイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のアルバムアートワークを洋金箔のうえに施した《Electronic Fan Girl》が、ウェブサイトにて受注販売を開始した。

 「TechnoByobu」は、過去から現在までの「テクノ」を体現する次の3要素により構成された新時代のアートピース。ここでの「テクノ」とは、「Technology」の語源となったギリシャ語の「technē」からとられたもの。「Technology」は「テクノを表現したアートワーク」「職人の技術を集結した伝統工芸(屏風)」「デジタル証明書(NFT)」の3つの要素から成り立つものとして位置づけられている。

「TechnoByobu」の《Electronic Fan Girl》

 第1弾となる《Electronic Fan Girl》は、ビーチがデザインしたYMOのワールドワイド版ファースト・アルバム「Yellow Magic Orchestra」(1979)のジャケットのアートワークを、洋金箔(真鍮箔)のうえに施した NFT 証明書付き作品だ。製造は118年の歴史を持ち、宮内庁、西本願寺、高級ファッションブランドまでを顧客とする広島の老舗箔押し紙メーカー歴清社が手がけた。

 アートワークを制作したビーチは1947年ドイツ生まれ。幼少時に両親とともにアメリカに移住し、ミネソタ、カリフォルニアなどで育つ。1970年代よりイラストレーターとして頭角を現し、雑誌、新聞、レコード・ジャケットにイラストを多数提供。コラージュ・アーティストとしてマドンナやポリスといったアーティストのアルバムアートワークを手がけたことで知られている。その後、絵画とコラージュを融合する作風を特徴とする美術家に転身し、現在もロサンゼルスで活躍中だ。

 ビーチは《Electronic Fan Girl》についてのインタビュー(*1)にて次のように語っている。

 「《Electronic Fan Girl》は私が考えた呼称ですが、ダブル・ミーニングを込めています。ひとつは扇子の『Fan』、そしてもうひとつは私がYMOの音楽のファンであるということです。もともとは日本のバンドを世界に紹介するということなので、ひと目で日本をイメージできるものがいいと思いました。日本のイメージとはなにかを考えていて、当時はやはりフジヤマ、そしてゲイシャでした。いろいろと資料を探しているうちに、とても古い芸者の写真が目に止まりました。富士山よりはやはり人間のキャラクターを使ったほうが見る人も楽しいだろうと思い、その芸者の写真をコラージュの題材とすることに決めました」。

「TechnoByobu」の《Electronic Fan Girl》

 ビーチは、モダンでクールな雰囲気を醸し出すために、サングラスを加え、髪のワイヤーでYMOのエレクトロニックな音楽を表現。また、キャラクターの背後に配置されている四角いシンボルもエレクトロニックな音を表現したという。「とにかくシンプルでありながら、レコードショップでこのジャケットを観た人にインパクトを与えるものにしたかったのです。日本のバンドだということも同時に伝えるべきだとも思っていました」と、ビーチは本作のコンセプトを語っている。

 本作が「テクノ屏風」になることについて、その感動をビーチは次のように表現した。「最初にそのアイデアを聞いたときは、なんていいプランなんだと思いました。私の作品が実用的な調度品に使われるのは初めてで、光栄な話だとも思いました。試作品の写真を見せてもらいましたが、いろんな角度から見ることで三次元的に見えますね。感想は、とにかく『Utskushii!(美しい)』です」。

 本作品には、NFT(Non-Fungible Token)を活用したアート証明書「Startrail PORT」が実装されている。作品に埋め込まれたチップをスマートフォンで読み込むことで NFT証明書を確認でき、これは一隻ごとに付与されるものとなる。これにより、作品の真性が保証されるとともに来歴も明らかになり、従来難しかったセキュアな証明書管理や二次取引から作家、ライセンスホルダーへの収益還元などの実験的なエコシステムを創出している。

《Electronic Fan Girl》の証明書 テクノ屏風ロゴデザイン: 立花ハジメ(TechnoByobu Logo Design : HAJIME TACHIBANA)

 熱狂的に愛されるイラストレーションをまとった《Electronic Fan Girl》の誕生。日本のみならず世界的にも注目を集めるであろう「TechnoByobu」を、この機会に手にしてみてはいかがだろうか。

*──ビーチによる語りは2022年12月、インタビュー ・構成を吉村栄一が行ったテキストを参照。

編集部

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