洋画家・小林萬吾、50年ぶりの展覧会。出身地の香川県立ミュージアムで

洋画家・小林萬吾(1868〜1947)の作品とともに、日本の洋画の軌跡をたどる展覧会「白馬のゆくえ 小林萬吾と日本洋画50年」が、2020年4月11日より香川県立ミュージアムで開催される。なお、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、各種行事の実施については変更も予想される。最新の情報は香川県立ミュージアムのホームページにて確認してほしい。

小林萬吾 花鈿 1927 提供=香川県立ミュージアム

 明治の洋画黎明期から長く活躍し、日本の近代絵画の成熟に貢献した画家・小林萬吾(1868〜1947)。その小林と日本の洋画の軌跡をたどる展覧会「白馬のゆくえ 小林萬吾と日本洋画50年」が、2020年4月11日〜6月7日に香川県立ミュージアムで開催される。

 小林は香川・三豊市の詫間町出身。フランスから絵画技術を持ち帰った日本洋画の父・黒田清輝に学び、黒田の呼びかけにより設立された絵画団体・白馬会に参加。40歳を過ぎてヨーロッパに遊学し、帰国後は日本の風景に目を向けながら、東京美術学校や私設の画塾「同舟舎」で多くの画家を育てた。

小林萬吾 自画像 大正初期 所蔵=高松市美術館

 展覧会は5部構成で、42名の作家による約130点を展示する。

 第1部は「黒田清輝との出会い」。小林の初期作品とともに、小林が多大な影響を受けた黒田清輝や、小林の最初の師である原田直次郎のほか、久米桂一郎、安藤仲太郎、和田英作らの作品を展示。洋画黎明期から発展していく当時の絵画の様相を明らかにする。

黒田清輝 婦人像(厨房) 1892 所蔵=東京藝術大学

 第2部は「白馬会と東京美術学校」。1896年に黒田の呼びかけのもと設立された若い画家たちによる「白馬会」と、同時期に西洋画科が開設された東京美術学校。これらの教育の場で活躍した、のちの洋画界をリードすることになる教師や画学生たちの作品を紹介する。

小林萬吾 門付 1900 所蔵=東京国立博物館  Image:TNM Image Archives

 第3部は「憧憬ヨーロッパ」。40歳を過ぎた小林は、文部省留学生として、1911〜1914年の4年間、パリを拠点にヨーロッパ各地を遊学。藤田嗣治、梅原龍三郎、安井曾太郎、文学者の与謝野鉄幹・晶子夫妻、島崎藤村らと異郷の地で交流した。ここでは、当時の画家をめざす日本人の足跡やその交流の様を新資料を交えて紹介。また留学者が学んだ印象派の画家たちについても紹介する。

小林萬吾 アトリエ 1912 所蔵=香川県立ミュージアム

 第4部は「日本の光を求めて」。帰国後、明るく柔らかな色彩によって、日本の温暖な陽ざしや湿潤な大気を表現した小林の作品を展示。また、白馬会解散後、文展を中心に活躍する黒田清輝や藤島武二らの作品に加え、白馬会のあとを継いだ「光風会」の画家たちの作品から日本洋画の成熟を見渡す。

 最後となる第5章は「同舟舎から次世代へ」。東京美術学校で教鞭をとる傍ら、自宅敷地内に画塾「同舟舎」を開設した小林。この同舟舎から巣立った画家たち、麻生三郎、牛島憲之、駒井哲郎、野見山暁治らの作品が一堂に会する。

東京美術学校の記念写真(前列左端が小林萬吾) 所蔵=香川県立ミュージアム

 小林の足跡とともに、豊富な作品や資料により、日本の洋画の黎明期からの歴史をたどることができる貴重な展覧会。この機会に、近代絵画の礎となった画家たちの足跡に触れてみてはいかがだろうか。 

 なお、新型コロナウイルス感染症対策により、各種行事の実施については変更も予想される。 来訪の際には、香川県立ミュージアムのホームページにて最新情報を確認してほしい。

編集部

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