狂人、好色家、天才といった様々なレッテルが貼られ、数々の伝説的なエピソードによって語り継がれる画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。その謎に包まれた死の真相に迫る映画『ゴッホ〜最期の手紙〜』が、全国で公開中だ。
本作は、世界で初めて全編が「動く油絵」で構築されている。映画はまず、俳優たちが演じる実写映画として撮影された。その映像をキャンバスに投影し、油絵に写し取ったものを写真に収め、ふたたび映像として構成。油絵を描いたのは、世界各国から選ばれ、訓練によりゴッホのタッチを習得した125名の画家たち。使用された油絵は、映像1秒につき12枚、全編で6万2450枚にものぼる。
描かれるのは、郵便配達人である父からゴッホの手紙を託された青年アルマンが、ゴッホの真実を求めて、アルルからパリ、そして彼が最期の日々を過ごしたオーヴェールへと旅をする物語。一般的には銃による自殺とされているゴッホの死だが、ゴッホが遺した手紙をきっかけに、その死に隠された不可解な事実が明らかになっていく。
監督・脚本を務めるのは、映画作家で画家でもあるドロタ・コビエラと、『ピーターと狼』でアカデミー賞短編アニメーション賞に輝いたヒュー・ウェルチマン。劇中の風景や登場人物の肖像には、ゴッホの作品130点以上も取り入れられており、まさにゴッホの絵画に入り込むかのような体験ができる映画となっている。