文化庁は平成30年度の概算要求額を公表。1251億6300万円で前年度比208億9200万円の増額となった。同庁は平成30年度を新・文化庁元年とし、「社会的・経済的価値をはぐくむ文化政策への転換」を謳っている。
今回の概算要求では数々の新規事業が見られるが、なかでももっとも高額な予算がついているのが「国際文化芸術発信拠点形成事業」の26億1100万円だ。これは増加傾向にある訪日外国人(インバウンド)や地域社会形成等のために、芸術祭などを中核とした、文化芸術と観光、まちづくり、食など他の関連分野と連携した、国際発信力のある拠点形成を支援するというもの。2020年の東京オリンピック・パラリンピックとそれ以降を見据え、海外メディアの招聘や国際的集客力のあるアーティストの招聘、コアとなる総合プロデューサー人材の育成などが事業に盛り込まれており、15の拠点(1拠点あたり1.7億円)を形成することを目指している。
また、「地域の美術館・博物館クラスター形成」では24億8400万円を計上。地域の美術館・博物館が中心となり、教育施設や観光関連機関と連携し、文化発信や人材育成などを行う「クラスター(文化集積地)」を形成することを主に、「美術館・歴史博物館クラスター形成支援事業」「地域と共働した創造活動の支援」「美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業」などに予算を振り分ける。
なお、文化庁は昨今、国宝・重要文化財の公開制限緩和の方針を固めるなど、文化財の活用に力を入れているが、今回の概算要求では「文化財活用のためのセンター機能の整備」(12億円)や、「魅力あふれる文化財公開活用事業の促進」(8億円)、「日本再発見! 文化財美術工芸品 魅力開花促進事業」(1億800万円)などを計上。文化財を観光資源として活用する方針を鮮明にしている。