ミュシャ《スラヴ叙事詩》は誰のもの? 所有権をめぐりプラハ市が敗訴

アルフォンス・ミュシャの代表作である《スラヴ叙事詩》。その所有権がプラハ市にはないという判決がプラハ地方裁判所によって下された。

2017年に国立新美術館で公開された《スラヴ叙事詩》

 ミュシャが1911年から28年までの約17年をかけて手がけた、全20点からなる超大作《スラヴ叙事詩》。この所有権をめぐる裁判がプラハで繰り広げられている。

 同作は、ミュシャが当時オーストリア・ハンガリー帝国に従属させられていたチェコの独立を願い描いた作品。ミュシャは作品制作のためのアメリカ人資産家のチャールズ・R・クレインの支援をとりつけ、この大作を完成させた。

 1928年に完成した後はプラハ市に寄贈された同作だったが、60年代からクルムロフ城で夏期展示されたほかは展示の機会にめぐまれなかった。近年では、2017年にチェコ国外で初めて東京の国立新美術館で全点展示されたことは記憶に新しいだろう。

2017年に国立新美術館で公開された《スラヴ叙事詩》

 この作品展示をめぐりプラハ市を訴えたのが、ミュシャの孫であるジョン・ミュシャだ。

 同作はもともとプラハ市が《スラヴ叙事詩》のための展示場所を建設することを条件に寄贈されたものだったが、結果的にそうしたスペースが建設されることはなかった。Czech Radioによると、ジョン・ミュシャはこのプラハ市の対応を批判し、プラハ市が《スラブ叙事詩》の正当な所有者になったことはないと主張。プラハ地方裁判所がこの訴えを認めたかたちになった。

 しかしながらプラハ市は控訴する構えを見せており、ミュシャの大作の行方が落ち着いたわけではない。今後の展開にも大きな注目が集まる。

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