アート・ディレクター、デザイナーとして世界を舞台に活躍した石岡瑛子(1938〜2012)の初の大規模回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が、東京都現代美術館で開催中だ。これを機に、渋谷のBunkamuraル・シネマで11月27日~12月3日に、石岡が衣装デザインを務めた『ドラキュラ』と『白雪姫と鏡の女王』が限定上映される。
『ドラキュラ』(1992)は、フランシス・フォード・コッポラが監督を務め、ゲイリー・オールドマンを主演にドラキュラ伝説を描いたゴシック・ロマン。『地獄の黙示録』(1979)の日本版ポスターを気に入っていたコッポラが、石岡瑛子に衣装デザインを依頼した。
アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した同作において、コッポラが打ち出した「衣装がセットで、セットがライティング」というコンセプトは、視覚伝達のアートディレクションを石岡瑛子に一任したとも言える。
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いっぽうの『白雪姫と鏡の女王』(2012)は、石岡の遺作となる。同作の監督を務めたターセム・シンは、デビュー作『ザ・セル』(2000)で学生のころより憧れていた石岡瑛子に衣装デザインを依頼。以来、『落下の王国』(2006)、『インモータルズ -神々の戦い-』(2011)で石岡と協働し、『白雪姫と鏡の女王』はふたりの4作目のコラボレーションにして、最後の作品となった。
同作は12年1月に石岡が他界したのちに全米公開され、翌13年にはアカデミー賞衣装デザイン賞候補に選出された。継母をジュリア・ロバーツ、白雪姫をリリー・コリンズ、王子をアーミー・ハマーが演じる豪華キャスティング。白雪姫役を務めたリリー・コリンズが一番気に入っているというオレンジ色のリボンがついた青いドレスと、継母役を務めたジュリア・ロバーツが着用した花びらを重ねた白いウェディングドレスは、「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」の最終室に展示されている。
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スクリーンで限定上映される貴重な機会。展覧会とともに石岡の衣装を大画面で楽しんでみてはいかがだろうか。