AdvertisementAdvertisement
2020.11.28

文化庁のフリーランス・芸術関係者支援、第4次募集が開始。手続きの際の心構えや注意点とは

11月25日、文化庁が約500億円の予算を投じて行っている、文化・芸術分野のフリーランス向けの「文化芸術活動の継続支援補助金」。その第4次募集が開始された。申請の手続きにあたっての心構えや注意点を、第3次募集に応募したというアーティスト・市原えつこの経験を交えながら、編集部がまとめた。

文化庁
前へ
次へ

 文化庁が、新型コロナウイルスで経済的な影響を受ける文化・芸術分野のフリーランス向けに、ひとり20万円からを支給する「文化芸術活動の継続支援補助金」の第4次募集が始まった。受付期間は12月11日17時までの予定となっている(受付は締切日まで行われるが、予算の上限に達し次第、募集を締め切る)。 

文化庁の募集概要(初回申請者用)より「補助の対象となる取組」

 実際にこの継続支援補助金を申請するに当たっては、具体的にどのような心構えや準備が必要となるのだろうか。第三次募集の際に申請を行ったというアーティストの市原えつこに、申請時の経験を聞きながら、編集部がまとめた。

 まず、申請概要が公表された際は、市原は「複雑すぎる」と敬遠していたという。しかしながら日本美術家連盟の解説ページがわかりやすかったため、ここを参考にしながら申請のプランを立てたそうだ。実際にウェブサイトを見てみると、採択者のプランのサンプルが多く掲載されており、参考になる。

 実際の申請画面は、市原の感想としてはかなりシンプルに手続きができるよう簡便化されており、とくに標準的な取り組みを行う事業者に向けて上限20万円を補助する「活動継続・技能向上等支援A-①」の申請に関して言うと、最初に募集要項を読んだ際の印象よりも実態としては非常に簡便な印象を受けたという。

文化庁の募集概要(初回申請者用)より、支援の種類

 また、より積極的な取り組みを行う個人事業者に向けて上限150万円を補助する「活動継続・技能向上等支援A-②」においては「事業計画書」が必要だが、これについても市原は「『事業計画書』と聞くと身構えてしまいますが、一般的な事業計画書と比べるとハードルは低めであり、5W2Hをなるべく具体的に記述しながらやりたい内容を作文し、目的にあった妥当な経費を計上すればクリアできました。なお消耗品は1点につき税込10万円未満などいくつかおさえるべき経費のルールもあるので、確認することをおすすめします」と話す。

 実際の申請を進めるに当たっては、市原はYouTubeに多数アップされている税理士による解説動画を参照し、概要を大まかに把握してから資料や入力欄を読み込むことで、申請への理解を進めていたという。

 申請に当たって注意したいのが申請方法だ。美術・写真・工芸分野では、その申請を一般社団法人日本美術家連盟が事前確認窓口を担っている(「書道」「メディア芸術(マンガ、アニメーション、ゲーム等)」については日本芸術文化振興会窓口)。対象を、グループ(1)「なんらかの美術の団体に所属する人、日本美術家連盟会員、同連盟会員の推薦を受けた人」と、グループ(2)「グループ(1)以外の、団体に所属していない人」のふたつに分けて窓口を設け、それぞれ当該分野の専門家による要件確認が行われる。この日本美術家連盟を通すことで簡便な申請手続きが可能な「確認番号」を発行することができるという仕組みだ。

 市原は、この業界団体による確認番号の取得については、「自分の活動が掲載されたフライヤー等の画像さえ用意できれば、さほど大変ではなかった。締め切り間際は混み合うので、申請を検討している方は早めの取得を推奨します」とする。確認番号発行の受付は12月4日17時に締め切られる。該当する人はまず日本美術家連盟のウェブサイトを確認したい。

 なお、精算規則については、後から取り返しがつかない証憑書類などについての記載もあるので、とくにしっかりと要項を熟読することも肝要だ。

 市原は、今回の支援を利用するメリットとして、アーティストの置かれた状況を鑑みつつ、次のようにコメントを寄せた。「あらゆる分野の作家がオンラインでの活動を必要とされる時代になっています。そのために必要な設備や機材がそろっているか否かでは、活動のしやすさがかなり変わってくると思うので、積極的に情報を集めたうえで、この機会をぜひ有効活用されるのをおすすめします」。