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2020.9.30

過去最高額。文化庁の21年度概算要求はコロナ対策費用を含む1588億円

文化庁は、2021(令和3)年度の概算要求を公開した。次年度は文化庁史上最高額となる1588億円を要求し、コロナ対策に重点を置く。

文化庁

 文化庁が2020(令和3)年度の予算概算要求を公開した。次年度は、文化庁としては史上最高額となる1588億円を計上。これは年度予算額1067億円から521億円(48.8パーセント)増という、インパクトが大きい数字だ。

 予算の肝となるのは、「要望額」として計上された520億1000万円のコロナ対策費用だ。この対策費用は、「ウィズコロナの『新たな日常』の実現」(246億2000万円)、「ウィズコロナ下の文化芸術活動の継続支援」(252億9000万円)、そして「コロナに負けない『安全・安心』環境の実現」(21億円)の3つからなる。

 「ウィズコロナの『新たな日常』の実現」では、文化施設のデジタル配信、バーチャル 展示など新たな文化芸術による収益力の強化や文化資源の高付加価値化を促進。また「ウィズコロナ下の文化芸術活動の継続支援」では、文化芸術活動支援の各事業における消毒液やアクリル板、非接触体温計等のコロナ対策に必要な経費を支援するほか、地域の伝統行事・文化財修理等の再開・継続に必要な 支援を行うとともに、博物館等の国際交流を促進する。国立文化施設や博物館等の文化施設における感染防止対策は、「コロナに負けない『安全・安心』環境の実現」として計上されている。

 また今回の概算要求で前年度より予算が倍増したのが「文化芸術の創造・発展と人材育成」だ。要求額は495億円(前年度213.6億円)。内訳としては、新規事業「文化芸術活動の継続・発展等支援」に161億円を計上。これは、配信などの取り組みの支援や、新たな配信プラットフォーム「ジャパンチャンネル(仮称)」の構築を含む「文化施設の活動支援環境整備事業」(100億円)をはじめ、美術館の時間制来館者システム導入支援を含む「文化施設の感染症防止対策事業」(21億円)、そして「文化芸術収益力強化事業」(40億円)からなる。

 また、舞台芸術創造活動活性化事業や、メディア芸術の創造・発信プランなど「文化芸術創造活動への効果的な支援」に84億600万円、「新たな時代に対応した文化芸術人材の育成および子どもたちの文化芸術体験の推進」に161億5700万円を計上する。

 加えて新記事業としては、「日本博イノベーション型プロジェクト」に10億3000万円を計上。これは、コロナ禍における情報発信や、最新技術を活用した映像コンテンツの制作などに充てられるもの。現在では「おいしい浮世絵展」のデジタル展覧会などが例に挙げられる。

 フリーランスのアーティストや関係者の支援にも注目したい。「芸術家等の活動基盤強化及び持続可能な活動機会の創出」では、新たに1億4000万円を計上。継続的な活動基盤の強化のため、アーティストなどの事業環境の調査分析・整備強化に加え、持続可能な活動・運営に関するモデル事業を実施するという。