政府は27日に2020年度の文化勲章を発表。美術分野からは工芸作家の奥田小由女と彫刻家の澄川喜一が選ばれた。
奥田小由女は1936年大阪府生まれ。紅実会人形研究所の林俊郎に師事。59年に現代人形美術展、日本女流人形展に出品・受賞して以降、様々な団体展で入選を重ね、72年の第4回日展で特選を受賞。その後は88年の第20回日展で文部大臣賞、90年の第22回日展で日本芸術院賞を受賞。98年には人形作家としては初めて日本芸術院会員に任命され、2008年には文化功労者として顕彰されている。夫は日本画家・奥田元宋で、広島には夫婦の名を冠した奥田元宋・小由女美術館がある。
いっぽう澄川は1931年島根県生まれ。東京藝術大学彫刻科で平櫛田中と菊池一雄に学び、具象彫刻から抽象彫刻、さらには新たな創作領域としての野外彫刻をはじめ、公共空間における造形の分野も切り拓いた。70年代後半より、木や石などの自然素材と対話し、日本固有の造形美と深く共鳴する抽象彫刻のシリーズ「そりのあるかたち」を展開。2020年には横浜美術館で大規模個展「そりとむくり」を開催した。2008年に文化功労者に顕彰され、紫綬褒章(1998)や紺綬褒章(1999)などを授章している。
文化勲章の親授式は11月3日に皇居で行われる。