NEWS / HEADLINE - 2019.11.21

浸水被害の川崎市市民ミュージアム。竹宮惠子や夏目房之介ら有志が被害状況の公開を求め文書を提出

10月12日から13日にかけて関東地方を縦断した台風19号の被害により、9つの収蔵庫への浸水と収蔵品の被害が確認された川崎市市民ミュージアム。いまだ被害状況の全貌が公開されないなか、11月14日には川崎市による収蔵品修復のための寄附金呼びかけが始まった。この一連の対応を憂慮したマンガ分野の有志が、状況の改善を訴える文書を市長と市民ミュージアム館長に提出した。

 

被災前の川崎市市民ミュージアムの外観 提供=川崎市市民ミュージアム

 台風19号の被害により、9つの収蔵庫への浸水と、収蔵品の被害が確認された川崎市市民ミュージアム。考古学・歴史資料、映画、写真、そして国内有数のマンガ資料を含めた約26万点の収蔵品を持つ同館だが、その被害の全貌は、被災後1ヶ月たったいまも明らかにされていない

 11月5日の記者会見で、福田紀彦川崎市長は市民ミュージアムの被害額が約72億円以上になることを明らかにした。しかしながら、収蔵品の被害額に関しては取得時の金額をもとに算出しており、実際の詳しい被害状況は調査中として公表されなかった。

 以後も、マンガ関連資料の被害状況や、収蔵品の救出作業の内容といった情報は、記者会見やマスコミ取材等を通じて断片的に公開されるに留まっている。11月14日、被害状況の全貌を公開しないまま、川崎市は収蔵品修復に向けた寄付の呼びかけを開始した。

 こうした川崎市の対応に危機感を持ったマンガ分野の有志は、11月18日、要望をまとめた文書を川崎市長と市民ミュージアム館長に宛てて提出。文書には、マンガ家の竹宮惠子や、マンガ評論家の夏目房之介、伊藤剛、呉智英といった著名人が名を連ねている。

 提出された文書の要旨は以下の2点。

1.マンガ関連資料の被害状況、およびその救出・修復の方針・方策・実施状況について、積極的・定期的な情報発信をお願いしたい。

2.被害を受けた資料の救出・修復に関する支援の依頼があれば、有志はその知見・人的ネットワーク、所属機関の有するノウハウ等を活かして、できる限りの支援をする準備をしている。

 1は、被災から1ヶ月以上が経過しながらも、収蔵庫・収蔵品の被害状況が断片的にしか伝えられておらず、特にマンガ関連資料の状況が把握できないことへの憂慮を表明したもの。資料の救出・修復に関しても、どのような機関にどのような依頼がされているのか公開されておらず、一刻も早く被害の概要と救出・修復の方針を知るために、定期会見やホームページ等を通じて積極的に情報を発信することを求めている。

 2は、文書を提出した有志一同が、市民ミュージアムと関わりが深く、収蔵品についての造詣が深いことを強調。これまで構築した市民ミュージアムとの信頼関係をもとに、すぐにでも支援協力を行う準備があることを訴えている。

 提出された文書の全文は、有志に名を連ねる明治大学准教授の宮本大人のブログより読むことができる。人類の共有財産とも言える貴重なマンガ資料の被害。市のすみやかな状況と方針の説明が求められている。