アジアのアーティストとの密接な関係を構築することにおいて、欧米ギャラリーの中ではパイオニア的存在のエマニュエル・ペロタンは、1989年、21歳にしてパリに最初のギャラリーを設立。現在ではパリ市内に4つのスペースを構えており、スペースは合計で2000平方メートルにおよぶ。2012年には香港に、翌13年にはニューヨークのマディソン通りに、また16年にはソウルにギャラリーをオープンさせるなど、多国的な活動を展開してきた。
同ギャラリーでは、村上隆をはじめ、MR.やタカノ綾、加藤泉など日本人作家のほか、ソフィ・カル、ローレント・グラッソ、JR、KAWSなど、国際的に活躍するアーティストを多数取り扱っており、特に村上隆を初めて国外にて紹介したギャラリーとして知られている。今回オープンする東京のスペースは、敷地面積約130平方メートル。2012年よりペロタン香港および、ソウルのディレクターを務める中島悦子、アリス・ルンとともに、 同じく12年よりペロタン香港在籍のステファニー・ヴァイヨンが東京に拠点を移し、ギャラリー運営に携わるという。
アジアでは香港、ソウルにつづく東京でのギャラリーだが、なぜ東京なのか? あるいは東京における現代美術のマーケット規模についてどのように考えているのか? この問いに対し、ペロタン側は「"アジア"と一括りになりがちですが、同じアジアでも国によって異なるマーケットが存在します。日本では2011年の震災以降、日本人の精神性の高さがさらに文化に反映され、高価値化し、経済も盛り上がりを見せています。それによって、海外からのビジターも増えて、あらためて東京に注目が集まっており、ペロタンをきっかけにして、より多くの方が日本に来ていただけるようになれば嬉しいです」と回答。
また、2017年春というオープンのタイミングについては、「六本木には世界でもトップクラスの森美術館などがあることもあり、もともと日本でギャラリーを設立するのであれば都内でも多くギャラリーの集まる六本木で、と考えてたのですが、ちょうど今年の7月頃に、現在のスペースが空くというお話を受け、設立する次第となりました」としている。
気になるのはペロタン東京で今後、どのような展覧会が開催されるのかという点だ。「日本に関わりのあるアーティストの展示を、できる限り行っていければと思っています。また、日本のための特別なプロジェクトの実施や、ペロタンのファッションや音楽など様々なシーンとの繋がりも生かし、多くのクリエーターたちが集まっている東京でのコラボレーションなども考えています」。
東京では「Blum & Poe」(2014年オープン)以来の海外ギャラリーとなるペロタン。小山登美夫ギャラリーなどが入居する「complex665」(2016年10月オープン)も誕生し、ますます活気づく六本木でどのような影響を与えるのか、注目が集まる。