1938年に東京・品川に建てられた実業家・原邦造の邸宅。ここをもとに、79年に開館した原美術館が2020年12月、約40年の歴史に幕を降ろす。
原美術館は現代美術の専門美術館として開館して以降、国内外の多数のアーティストたちを紹介し、日本のアートシーンに絶大な影響を与えてきた。
今年に入ってからは、同館がコレクションしてきた50年代以降の作品約1000点のなかから、原俊夫(元同館館長、現アルカンシェール美術財団理事長)自身が選びキュレーションするという初の展覧会を開催。美術館自体の回顧展ともとれるものだった。
人事で大きな動きがあったのも今年のことだ。原美術館とハラ ミュージアム アークの館長を兼任していた原俊夫が退任し、7月1日付で新館長にそれぞれ内田洋子と青野和子が就任しことは記憶に新しい。
閉館の理由としては、竣工から80年を経た建物の老朽化と、古い建築を再利用しているがゆえに、ユニバーサルデザインやバリアフリーの観点からの問題があること。そして、建替えには法規制上の制約も厳しくのしかかる状況などが挙げられている。
2021年からは伊香保のハラ ミュージアム アーク(1988年に開館)を原美術館ARCと改称し、同館が唯一の活動拠点になるという。
原美術館は館内に奈良美智の常設展示室をはじめ、多数のアーティストたちによる作品が常設展示されており、建物を含めてこれらの作品が21年以降、どのような経緯をたどることになるのか、注目が集まる。