『美術手帖』2018年12月号より 11月7日発売の『美術手帖』12月号は、「アート×ブロックチェーン 未来の価値をつくるのは誰か?」を特集する。
中央の管理機関なしに、デジタルデータ上の「所有」と「価値の交換」を可能にすると言われるブロックチェーンという技術基盤が、アートワールドにもたらすものとはなにか?本特集では、作品の真贋認証や分割所有などマーケットを中心に起きることの事例、来るべき美術館の構想、アートやお金の価値形成など、この新しいテクノロジーが持つ思想と実装可能性の両方から、アート×ブロックチェーンの未来を考える。
ブロックチェーンによってアーティストの未来はどのようになっているのか?計算機科学者の斉藤賢爾監修によるSFマンガでは、アート×ブロックチェーン「10年後の未来」と「50年後の未来」を描く。作画はTwitterなどのgifアニメで有名なクイックオバケ。
巻頭の座談会では、ブロックチェーンの専門的知識をもつ斉藤賢爾、アート×ブロックチェーンの新しいサービスを提供するスタートバーン株式会社の施井泰平、東京都国立近代美術館のキュレーターである保坂健二朗が、三者三様の立場から「アート×ブロックチェーン」の未来について語る。
「新しいアートマーケットに向けて」のページでは、ブロックチェーンがアート作品とどのように結びつくのかを図解で示すとともに、アートとブロックチェーンをかけあわせて新たなプラットフォームを立ち上げる、「ヴェリサート」「クリスティーズ」「スタートバーン」「ビットアーツ」「ザ・チェーン・ミュージアム」などのスタートアップ企業やオークション会社の取り組みを紹介する。
ブロックチェーン基礎知識のページでは、Q&Aでわかりやすくその技術について解説するとともに、ブロックチェーンの10年の歴史をテクノロジー関連の世界の重要トピックとともに一覧。
また特集では、ブロックチェーンが提示している自立分散的な思想から、作品の価値形成の仕組み、私有することと公共性への問い、美術館での応用可能性など、様々なアートへの問いを投げかけている。Goh Uozumiやサイモン・デニーのようなブロックチェーンをテーマに作品をつくるアーティストへのインタビューや、有識者による論考、そしてアーティストがつくる未来予想図から、アート×ブロックチェーンが提示している思想や未来に限界まで迫った特集になっている。