廃棄された絵画から考える。
東京大学で「シンポジウム『宇佐美圭司《きずな》から出発して』」が開催決定

東京大学での宇佐美圭司の絵画《きずな》廃棄を受け9月28日、東京大学の大講堂(安田講堂)でシンポジウムが行われる。

東京大学の大講堂(安田講堂) 出典=ウィキメディア・コモンズ

 40年以上にわたり東京大学中央食堂の壁面に展示され、多くの人々に親しまれてきた宇佐美圭司の絵画《きずな》(1977)が2017年に廃棄。文化的価値を持つ作品がしかるべき対応を取られることなく廃棄されたという事実が大きな議論を引き起こした。

 そして9月28日、これら一連の出来事を受け、東京大学の研究者を中心に「シンポジウム『宇佐美圭司《きずな》から出発して』」が開催されることが決定した。

東京大学中央食堂に設置されていた宇佐美圭司の《きずな》 提供=大学関係者

 複数のテーマにしたがって進行するシンポジウム。「宇佐美圭司《きずな》について」では、廃棄された作品について、実際に作品に接してきた研究者がそれぞれの専門の立場から検討。「宇佐美圭司と戦後日本美術」では、宇佐美氏が活躍した戦後日本美術について、主に1970年代にフォーカスして論じられる。さらに「東京大学と文化資源」では、学内外の文化資源のあり方について考察する。

 参加者は岡﨑乾二郎、加治屋健司、木下直之、小林真理、佐藤康宏 、鈴木泉、髙岸輝、高階秀爾、林道郎、三浦篤の10名。宇佐美の作品について考察し、その芸術的価値を再確認するとともに、東京大学内に存在する文化資源に対する認識を高める機会となることが目指される。

編集部

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