川俣正の大規模作品も。
今秋、コア期間を迎える「東アジア文化都市2018金沢」に注目

2018年1月よりスタートした「東アジア文化都市2018金沢」では、様々な文化事業を展開中。そのコア期間となる9〜11月を前に、文化庁にてプログラム詳細を発表する記者会見が行われた。

金沢21世紀美術館 出典=ウィキメディア・コモンズ

 「東アジア文化都市」とは、2012年の第4回日中韓文化大臣会合での合意に基づきスタートした、日中韓3ヶ国の共同事業。各国から選定された都市が、都市間交流を含む文化芸術事業を集中的に実施し、今年は金沢市(日本)、ハルビン市(中国)、釜山広域市(韓国)が選ばれた。

 日本ではこれまで「ヨコハマ砂の彫刻展」(2014)や京都市での「アジア回廊」(2017)などを開催。金沢市では「東アジア文化都市2018金沢」として、今年1月より様々なプロジェクトを展開中だが、コア事業が行われる9〜11月を前に、その内容を発表する記者会見が文化庁で行われた。

(左から)大野彰子(長官官房国際課長)、中岡司(文化庁次長)、山野之義(金沢市長)、福光松太郎(東アジア文化都市2018金沢実行委員会実行委員長)、黒澤浩美(金沢21世紀美術館学芸課長)

 コア事業のひとつ、金沢21世紀美術館の「変容する家」(9月15日〜11月4日)は、日中韓の現代美術作家は「家」をテーマに、市内3エリアの民家やビルを会場に作品を展示する展覧会。黒澤浩美(金沢21世紀美術館学芸課長)は本展について「移動が常態化した現代の人々にとって“家”はどんな意味を持つのか。その問いかけのレスポンスとしてアーティストが作品を発表します」と話す。

 参加作家は川俣正、ソン・ドン、ムン・ギョンウォン&チョン・ジュンホら約20組。川俣は、美術館の広場や近隣のビルを丸ごと使ったダイナミックな作品を発表。その他の作家も、石引商店街を中心とした街の人々の日々の生活に寄り添うような作品や、元工場や寺院、町家といった場の物語、特徴ある空間を生かした展示を行う。

 いっぽう、「金沢21世紀工芸祭」(10月11日〜11月25日)は、藩政期以来のものづくりが息づく金沢の「工芸」にフォーカスした祭典。約120のプログラムと200名を超える工芸作家が関わる大規模な工芸祭となる。

 また、6のプログラムを展開する「×(かける)プロジェクト」では、工芸に「霊性」「Food Tech」「建築」などを掛け合わせることで、工芸を通して新たな価値の創造を図ろうというもの。金沢市長の山野之義は「伝統と文化が交流する金沢で新しいものに挑戦する姿勢を見せたい」と話す。

 そのほかにもハルビン市、釜山広域市との市民レベルでの文化交流プログラムを実施する日中韓文化交流事業、クロージングイベントなども行われる予定だ。

 プロジェクト総数は約150にものぼる「東アジア文化都市2018金沢」について、実行委員長の福光松太郎は「2020年をめがけ、文化芸術により金沢が国際的な存在感を確率することを目標としている」意気込みを語る。また、1年間の会期を通して50万人以上の来場を目指しているという。

編集部

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