フィンセント・ファン・ゴッホの油彩画が2018年6月4日〜5日にフランスで開催されるオークションに出品されると、フランスのオークション会社・アールキュリアルが18年3月28日に発表した。ゴッホの作品がフランスのオークションに出品されるのは20年ぶり。
出品される作品は、1882年に描かれたという《砂丘で網を修理する女性たち》。ゴッホのよく知られている作品は86年のパリ居住中や88年のアルル滞在時の作品で、本作品はゴッホが絵画を本格的に描き出したごく初期の作品である。以前の所有者から貸し出され、アムステルダムのゴッホ美術館にも展示されていたことがある作品だ。
1880年に画家を志したゴッホはブリュッセルで絵を学ぶが、金銭的事情からその後オランダに戻る。82年には画家であった義理の従兄弟を頼ってハーグに滞在。当時ハーグでは「ハーグ派」と呼ばれるくすんだ色合いを特徴とし、バルビゾン派に影響を受けて風景画を描く画家たちが活動しており、ゴッホの親戚もその一員だった。本作品はそのような環境下で制作されたもので、労働者階級の人々というゴッホ初期の特徴であるモチーフが見られる。また、ジャン=フランソワ・ミレーらバルビゾン派からの影響を受けているとアールキュリアルのブルーノ・ジョベールは語っている。
注目の落札予想価格は、300万〜500万ユーロ、日本円にして約6億5千万円と見られている。これまでのゴッホ作品の落札最高額は、日本がバブル景気に湧く1990年5月15日にクリスティーズに出品された《医師ガシェの肖像》で、大昭和製紙の齊藤了英が落札した8250万ドル。当時のレートで約124億円だ。同作品はその後二度オークションに出品され、現在個人蔵となっている。
なお、6月に開催される本オークションではゴッホだけではなくポール・ゴーギャンの作品も5点出品され、落札予想価格は3300万円。こちらにも注目したい。