DIC旧蔵の橋本関雪作品、
京都の白沙村荘 橋本関雪記念館が
収蔵・展示へ

2017年12月3日で日本画展示を終了したDIC川村記念美術館。同館が所蔵していた橋本関雪の3作品について、京都の白沙村荘 橋本関雪記念館が収蔵したことがわかった。

橋本関雪 秋桜老猿 1938

 DIC川村記念美術館は、昨年11月にに日本画展示の終了と、所有する日本画作品約20点の売却を発表し、大きな話題を集めた。ネット上では鏑木清方や橋本関雪など、所有作品それぞれの行方について懸念する声も聞かれたが、そのうち関雪による3作品は京都に里帰りする結果となった。

 橋本関雪の《琵琶行》(1910、第4回文展褒状)、《木蘭》(1918、第12回文展特選)、《秋桜老猿》(1938)について収蔵を明らかにしたのは白沙村荘 橋本関雪記念館。

白沙村荘 橋本関雪記念館新美術館外観

 同館は橋本関雪が自身の制作を行うアトリエとして造営した邸宅を利用した記念館。1万平米の敷地内には大正~昭和初期に建築された居宅をはじめ、関雪が日本画の制作を行っていた3つの画室、茶室、持仏堂などの建造物が散在しており、池泉回遊式庭園は国の名勝にも指定されている。いまなお画家の息遣いを感じられる場所として京都東山の名所の一つとなっている。

白沙村荘 橋本関雪記念館展示室

 同館による今回の収蔵については、昨年の春に関係者筋から同館宛に「関東の美術館から橋本関雪の作品が出される」という情報がもたらされたことが発端。同館館長で関雪のひ孫にあたる橋本眞次は、「DIC川村記念美術館の作品であることがわかり、その場で収蔵を決定した」という。

橋本関雪 琵琶行(左隻) 1910
橋本関雪 琵琶行(右隻) 1910

 白沙村荘 橋本関雪記念館では、2014年9月に関雪が晩年に抱いていた「展示棟建設計画」を引き継いだ新美術館が開館しており、橋本は「文展・帝展出品の代表的作品を収蔵したいとかねてより希望してた」と話す。

 3作品のうち《琵琶行》《木蘭》の2作品については、橋本の父が館長を務めていた頃、当時の所有者から購入打診があったものの断念。「奇しくもその2点ともがDIC川村記念美術館に収蔵され、そしてまた白沙村荘へ還ってきた事に不思議な縁を感じます。《木蘭》は制作よりちょうど100年の節目にあたりますので、何やら感慨深いものがあります」。

橋本関雪 木蘭(左隻) 1918
橋本関雪 木蘭(右隻) 1918

 なお、この3作品は今年3月17日から5月13日までの期間、白沙村荘春季展として3点同時に公開。紆余曲折を経て里帰りを果たした橋本関雪作品を観に春の京都に行ってみてはいかがだろうか。

編集部

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