日本を代表する建築家の一人・安藤忠雄(1941〜)は、1969年より「都市ゲリラ」として建築設計活動を始めて以来、日本のみならず、世界各国で意欲的に活動を展開してきた。そんな安藤の挑戦の歴史と未来への展望に迫る展覧会がこの秋、国立新美術館で開催される。
本展は以下の6つのテーマで構成。初期の代表作から近年の圧倒的スケールの海外作品まで、100点を超える住宅作品を一挙公開する「原点/住まい」、一連の教会作品を紹介する「光」、安藤が一貫して試みてきた、人が集まる場を創出するための「余白」を考える「余白の空間」、直島ベネッセハウスに代表される、環境一体型建築の系譜をたどる「場所を読む」、古い建築の保存と再生に関わるプロジェクトを一望する「あるものを生かしてないものをつくる」、建築づくりを環境づくりととらえ、建築という領域を超えて社会活動に取り組む安藤の思想に切り込んだ「育てる」。
さらに、30年にわたり携わってきた「直島プロジェクト」を俯瞰する空間インスタレーションや、原寸大で再現された代表作「光の教会」は、本展の大きなみどころとなっている。安藤自身による会場デザインにも注目だ。
世界的に活躍する安藤の半世紀に及ぶ活動の軌跡とこれからを展望することができる展覧会となっている。
また本展の連動企画として、21_21 DESIGN SIGHTでは10月7日より「安藤忠雄 21_21の現場 悪戦苦闘」を開催。安藤が、三宅一生と対話を重ねて設計した同館のスケッチや建築現場の映像を見ることができる。