浅野竹二(1900~99)は京都に生まれ、京都にアトリエを構える。はじめは日本画を志したが、30歳頃から木版画に関心を移し、1931年に「新京名所」シリーズを発表。明朗で光にあふれた独特の全国名所絵でその名を知られるようになった。
そのかたわら、自ら描き、彫り、摺る、創作木版画の制作も続けた。60年には、アメリカの社会派の画家ベン・シャーンと出会い、交流を深めるなかで大胆で自由なイメージの世界を開花させていった。
浅野の作品には、猫、鳥、虫など、人間とともに暮らす生き物たちが多く描かれ、単純さ、大胆さ、純粋さ、愉快さから、生きることの喜びを見ることができる。晩年は、白内障を患い、体力的な問題から木版の制作が困難になるものの、ガッシュで絵を描き続けた。
浅野の関東初の大規模展覧会となる本展では、初期の名所絵版画から、生涯をかけた創作版画、晩年のガッシュまで、約200点を展示。さらにベン・シャーンの作品も合わせて展示され、二人の交流を辿ることができる。