日本と東南アジアの美意識を対話させる。清昌堂やました THE ROOMで開催中の「Irmo Ehoor」展をチェック

インドネシア出身のアーティスト、シャイフル・アウリア・ガリバルディが6週間にわたる京都でのレジデンス期間中に制作した新作を発表する展覧会「Irmo Ehoor」が清昌堂やました THE ROOMで開催中。会期は11月26日まで。

シャイフル・アウリア・ガリバルディ Lartucira #13.12 2017Photography courtesy of The Artist, ROH, and Silverlens

 京都の茶道具の老舗「清昌堂やました」が運営しているプロジェクトスペース「清昌堂やました THE ROOM」で、インドネシア人のアーティストであるシャイフル・アウリア・ガリバルディの個展「Irmo Ehoor」が開催されている。会期は11月26日まで。

清昌堂やました THE ROOMの外観

 ガリバルディは1985年インドネシア・ジャカルタ生まれ。現在は同国のバンドンを拠点に活動している。インスタレーション、ペインティング、ドローイング、版画、映像作品など幅広いメディアを用いて、科学と構築された美的宇宙との関係を見つめる活動を展開しているガリバルディは、生態系のネットワーク化された相互関連性や、死、腐敗、生命の象徴としての微生物に興味を持っている。

シャイフル・アウリア・ガリバルディ
Photography courtesy of The Artist, ROH, and Silverlens

 ジャカルタに拠点を置くギャラリー「ROH」の協力のもとに開催される本展では、ガリバルディが6週間にわたる京都でのレジデンス期間中に制作した新作が展示。京都を取り巻く自然環境やコミュニティとのコラボレーションを通してつくられた作品では、京都から取り寄せた様々な職人技が光る紙と、日本のインクをベースにした新しい顔料が使用されており、モノクロームやグレースケールでありながら、彩度が高く、自然の色の微妙な変化がアクセントになっている。

シャイフル・アウリア・ガリバルディ Lartucira #13.12 2017(部分)
Photography courtesy of The Artist, ROH, and Silverlens

 また本展では、生きたシイタケで覆われたトーテムのような木製の丸太からなるサイト・スペシフィックなインスタレーションや、微生物学や自然科学の狭間を表現する新しい映像作品も展示。清昌堂やましたTHE ROOMという親密な空間で、多世代が暮らす家庭環境としての歴史を内包し、日本と東南アジアの美意識を互いに融合させ対話させるガリバルディの実践を目撃してほしい。

編集部

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