1984年に開館し、2017年から長期休館に入っていた滋賀県立近代美術館が今年6月、「滋賀県立美術館」としてリニューアル開館を迎えた。その開館後、第2弾となる展覧会としてリニューアル記念展「ボイスオーバー 回って遊ぶ声」が開催される。会期は9月18日~11月14日。
本展は、滋賀県立美術館が所蔵する日本画、郷土美術、現代美術、アール・ブリュットといった幅広いコレクション約1800件を中心に、選りすぐりの作品167件をジャンルや時代の区別なく紹介するもの。
主な出品作家は、イケムラレイコ、アンディ・ウォーホル、小倉遊亀、河原温、草間彌生、アーシル・ゴーキー、澤田真一、志村ふくみ、白髪一雄、塔本シスコ、野口謙蔵、速水御舟、コンスタンティン・ブランクーシ、ジャクソン・ポロック、アンリ・マティス、横山大観、李禹煥、マーク・ロスコなど。
同館設立のきっかけとなった小倉遊亀本人寄贈の作品22件は全点が展示される(会期中展示替えあり)。また、この度発見された小倉遊亀の代表作《裸婦》(1969年に焼失)の大下絵が公開。さらに、アンディ・ウォーホル2件20点や、2016年から収集を始めたアール・ブリュット作品など、コレクションの代表作と言えるものが一堂に会する。
本展では、ギャラリーを含めてすべての展示室を会場として使用。建物の特徴を活かした回遊式の展覧会は、滋賀県立近代美術館時代を含めて初の試みになるという。
また今回は同館コレクションに加えて、3組のゲストアーティストによる新作も発表される。
緻密かつ大胆なサーチを軸に多様な表現方法を展開する田村友一郎は、アンディ・ウォーホルの作品に表れるイメージそのものに着目し、そこから導き出した因果関係を多様なマテリアルにのせて交差させる。「うつす」行為を通じ、消えゆくものの価値に光を当てる中尾美園は、小倉遊亀をテーマに作品を残すこと/残ることの意味を我々に問いかける新作を展示。2004年に設立された建築家ユニットのドットアーキテクツは、休館中の学芸員たちの活動記録をベースにし、美術館の意外な景色を提示するという。
美術館の顔でもあるコレクションとそれに呼応する新作を通じて、作品が発する「声」に耳をすませたい。