長谷川新がキュレーターを務めるgallery αMの連続企画。「約束の凝集」第2回は永田康祐

長谷川新キュレーションによる連続企画「約束の凝集」が、東京・馬喰町のgallery αMで開催されている。本企画は、2020年8月から21年12月にわたって5人のアーティストを個展形式で紹介するもの。第1回の曽根裕に続くのは永田康祐。展覧会を「イート」と題し、そのタイトル通り、食べることや「口」についての問いを中心に内容を展開するという。会期は11月27日〜2021年3月5日。

αMプロジェクト2020 約束の凝集 vol. 2 永田康祐「イート」

 東京・馬喰町のgallery αMでは、長谷川新キュレーションによる連続企画「約束の凝集」を開催中。本企画は、1年にわたって5人のアーティストを個展形式で紹介するもの。曽根裕に続く第2回は、永田康祐の個展「イート」だ。会期は11月27日〜2021年3月5日。

 永田は1990年愛知県生まれ。社会制度やメディア技術、知覚システムといった人間が物事を認識する基礎ともいえる要素に着目し、作品では、あるものをほかのものから区別するプロセスに伴う曖昧さについて扱うアーティストだ。主な展覧会に「あいちトリエンナーレ2019:情の時代」(愛知県美術館、2019)、「オープンスペース2018:イン・トランジション」(NTTインターコミュニケーションセンター、2018)、「第10回恵比寿映像祭:インヴィジブル」(東京都写真美術館、2018)などがある。また、主なテキストとして「Photoshop以降の写真作品:「写真装置」のソフトウェアについて」(『インスタグラムと現代視覚文化論』所収、2018)などがある。

永田康祐《Digest(Translation Zone)》からのスティル(制作中)
永田康祐《Purée》からのスティル(制作中)

 本展は、新作の映像作品《Purée》を中心に構成。「イート」という展覧会名や作品名の通り、食べることや「口」についての問いを中心に内容が展開される。 永田は《Purée》において、タイトル通り「ピュレ」と呼ばれる料理をつくりながら「主体」の範囲を考えようと試みる。いくつかの時代をめぐり、ピュレが広まっていく背景にある歴史や労働、政治、現実を再編しながら、永田は主体の範囲を拡張できないかともがく。

 ここからは家庭料理をテーマにした前作《Translation Zone》(2019)から続く、永田の一貫した関心がうかがえる。《Translation Zone》において示されるのは、不十分な条件下においても「翻訳」と「家庭料理」が生活を営んでいこうとする人々の前向きさの結晶であるという事実だ。本展では、《Translation Zone》のダイジェスト版《Digest(Translation Zone)》も見ることができる(Digestとは「消化」も意味する)。

 ウェブ版美術手帖では、「約束の凝集」第1回の参加アーティスト・曽根裕の初期作品から最新の「石器時代最後の夜」をたどる永田の論考を掲載中だ。

永田康祐 Semantic Segmentation 2019

編集部

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