2020.10.30

国立工芸館の開館記念展から「大京都芸術祭 2020」まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

先週から今週にかけて始まった展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。予約方法や注意事項については、各館や芸術祭の公式ウェブサイトを参照してほしい。

「工の芸術―素材・わざ・風土」展示風景より、初代宮川香山《鳩桜花図高浮彫花瓶》(1871-82)
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日本の工芸を世界に発信。「工の芸術―素材・わざ・風土」(国立工芸館)

 東京の皇居に隣接していた東京国立近代美術館工芸館が金沢に移転し、新たに開館した「国立工芸館」。そのオープニングを飾るのは、同館コレクションを総覧する開館記念展「工の芸術―素材・わざ・風土」だ。

展示風景より、松田権六《漆絵梅文椀》(1966)

 本展は、工芸の「素材・わざ・風土」に焦点を当てたもので、同館のコレクションから近代日本工芸の名作128点(94作家3団体、展示替えあり)を3つの章にわけて紹介している。展示は「素材とわざの因数分解」「『自然』のイメージを更新する」「風土─場所ともの」の3章構成。工芸家たちがどのように「素材―自然」と向き合い、「自然のイメージ」をどのようにとらえ直してきたか、また土地と「もの」の関係をどのように紡いできたかを探る。

 本展を担当した同館工芸課主任研究員の花井久穂は開幕にあたり、次のように語っている。「明治から現代までのあらゆる素材、技法が網羅されている。工芸はその土地や気候と密接に関わるもの。土地が持つ力を見直したいという考えからテーマを設定した」。

会期:2020年10月25日~2021年1月11日(展示替えあり)
会場:国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館)
住所:石川県金沢市出羽町3-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30〜17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし10月26日、11月23日、1月11日は開館)、11月24日、年末年始(12月28日~1月1日)
料金:一般 500円 / 大学生 300円 / 高校生以下および18歳未満無料

 

ピカソのセラミック作品に注目。「ピカソ:コート・ダジュールの生活」(ヨックモックミュージアム)

 洋菓子「シガール」で広く知られるヨックモックの名を冠した美術館「ヨックモックミュージアム」が、10月25日に東京・南青山に開館。建築物を設計したのは、隈研吾建築都市設計事務所に9年間在籍していた栗田祥弘。ヨックモックのコーポレートカラーでもある青色の屋根瓦が特徴的な建築デザインだ。

ヨックモックミュージアム外観

 同館は、ヨックモックグループとして30年以上かけて集めた約500点のピカソのセラミック作品を中心に展示。開館記念展「ピカソ:コート・ダジュールの生活」では、第二次世界大戦後に始められたピカソのセラミック制作を、コート・ダジュールでの生活と文化、人々との関わりを通して紹介し、ピカソの平和活動への従事とセラミック制作との関係にも注目している。

 また、同館にはカフェやライブラリーも充実。「カフェ ヴァロリース」では、ヨックモックグループ内のハイエンドのお菓子や、体験型カフェメニューなども販売中。作品鑑賞後にリフレッシュしながら、クリエイティブワークをお菓子やコーヒーとともに楽しみたい。

会期:2020年10月25日〜2021年9月26日
会場:ヨックモックミュージアム
住所:東京都港区南青山6-15-1
電話番号:03-3486-8000
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし祝日の場合、翌火)・年末年始・展示替期間
料金:一般 1200円 / 大学生・高校生・中学生 800円 / 小学生以下無料
チケットのオンライン購入:https://www.e-tix.jp/yokumokumuseum/

 

地域の歴史と物語を伝える。「大京都芸術祭 2020 in 京丹後 〜風景泥棒2〜」(京都府・京丹後市)

 京都府のアーティスト・イン・レジデンス事業「京都:Re-Search」の2カ年計画として、2019年に成果展「大京都 2019 in 京丹後 〜風景泥棒〜」が開催。その2年目のプログラムとして、「大京都芸術祭 2020 in 京丹後 〜風景泥棒2〜」が京都府・京丹後市で開幕した。

SIDE CORE《岬のサイクロプス2020》の展示風景

 アーティストが地域交流しながら創作活動を行うことで、地域に文化芸術の場をつくり活性化につなげる同プログラム。参加アーティストは石毛健太、高橋臨太郎、田中良佑、前谷開、鷲尾怜、ゲストアーティストにSIDE COREを迎える。京丹後市の峰山エリア、ガラシャ荘・三津八幡神社、網野エリアの3つの地域で作品を制作・発表した。

 今年は地域クリエイターとしてDAISAK、NTsKi、川勝小遥が参加。長期間にわたるリサーチをベースに、各作家が様々なアプローチによる作品をつくりあげることで、京丹後市という土地が持つ歴史や物語を探る。

会期:2020年10月23日~25日、30日~11月3日、11月6日〜8日、13日〜15日
会場:吉村機業旧織物工場、浅茂川区民会館、にしがき網野店2階、網野町ボーリング場跡地、ガラシャ荘、三津八幡神社芝居舞台
電話番号:075-414-4279
開館時間:10:00〜17:00(ガラシャ荘〜16:00)
料金:無料
※開催場所の詳細は公式ウェブサイトを参照