2800点以上の作品を所蔵しているアーティゾン美術館は、4階展示室の一角にそのコレクションを紹介する「特集コーナー展示」を設け、毎回異なるテーマで企画展示を開催している。その第3回では、青木繁や坂本繁二郎など久留米の近代画家を取り上げる。
「青木繁、坂本繁二郎、古賀春江とその時代 久留米をめぐる画家たち」と題される本展は、11月3日〜2021年1月24日に開催。石橋財団の近代洋画コレクションの中心である青木、坂本など、同館の前身であるブリヂストン美術館の創設者・石橋正二郎と同郷(久留米市)の画家たちの作品を展示する。
明治末から大正・昭和初期にかけて、久留米やその近隣の筑後地域からは多くの美術家が輩出された。その背景には、明治期に洋画の指導者がいたことや、その指導を受けた青木、坂本が中央画壇で活躍したことが挙げられる。また、青木、坂本より4歳下の松田諦晶は後続の画家を見守り、ときに彼らを先達とつなぐという役割も果たした。
本展では、その松田を通して見える創作活動や地縁に焦点を当て、久留米の豊かな洋画山脈を紹介。青木、坂本、古賀春江を中心に、松田、髙島野十郎、髙田力蔵の作品も登場する。
また本展では、同館が新たに収蔵した青木と坂本の作品も展示。青木は学生時代に博物館に通い、展示されていた多数の仮面をスケッチ。その大半は、1980年以来一般に公開されることがなく、「秘蔵の」スケッチとも呼ばれてきた。今回は、同館が新たに収蔵した25点のスケッチより3点を出品。加えて、月を多数描いた画家として知られている坂本の最晩年の絶筆とされる《幽光》も初公開する。