2020.3.9

バシェの音響彫刻5点が一堂に。川崎市岡本太郎美術館で「音と造形のレゾナンス」展が開催

1970年の大阪万博で注目を集めた、バシェ兄弟による「音響彫刻」。その5点を一堂に展示し、岡本太郎の芸術空間で共演させる「音と造形のレゾナンス-バシェ音響彫刻と岡本太郎の共振」展が、川崎市岡本太郎美術館で開催される。会期は4月25日〜7月12日(4月15日追記:本展は開幕延期となった)。

フランソワ・バシェ 高木フォーン 1970 大阪府蔵 撮影=守屋友樹 提供=京都芸術センター
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 川崎市岡本太郎美術館で、「音と造形のレゾナンス-バシェ音響彫刻と岡本太郎の共振」展が開催される。会期は4月25日~7月12日(4月15日追記:本展は開幕延期となった)。

 「音響彫刻」とは、フランスの彫刻家であるフランソワ・バシェとベルナール・バシェの兄弟によって、誰でも自由に演奏できることのできる楽器、オブジェとして制作されたもの。1970年の大阪万博では、鉄鋼館のディレクターであった作曲家・武満徹がフランソワ・バシェを招聘し、17点の音響彫刻を制作。「芸術はすべての人と共有するものである」という理念を貫いた岡本太郎の《太陽の塔》とともに、多くの人々の注目を集めた。

武満徹とフランソワ・バシェ(万博当時) 提供=Ana SANCHEZ BONET
フランソワ・バシェ 川上フォーン 1970 大阪府蔵

 その後は手つかずの状態で鉄鋼館に保管されていた音響彫刻だが、2013年頃から大阪府、東京藝術大学、京都市立芸術大学を中心とした修復・復元作業がスタート。当時と変わらぬ造形美と音響を取り戻した。

 本展には17点の音響彫刻のうち、復元された5点が一同に集結。それぞれ異なる造形を持つ《高木フォーン》《川上フォーン》《桂フォーン》《渡辺フォーン》《勝原フォーン》を、岡本太郎の絵画や彫刻、レリーフ作品の並ぶ空間で共演させる試みだ。

岡本太郎 挑む 1980 紙、墨、絵具

 会期中にはレクチャーやワークショップのほか、フランソワ・バシェの愛弟子であるマルティ・ルイツや灰野敬二、鈴木昭男によるコンサート、科学的な側面から音響彫刻の魅力に迫るシンポジウムなど、多彩なイベントが開催。実際に音色を楽しむことのできる機会を、逃さずチェックしてほしい。