国際交流基金は、3月19日にギリシャ・アテネで行われる東京2020オリンピック聖火引継式にあわせ、国立ビザンチン・クリスチャン美術館で「北大路魯山人」展、日本現代美術展「Relay to Tokyo―継承と集積」を同時開催する。会期は3月18日~5月3日。
「北大路魯山人」展では、世田谷美術館の塩田コレクションから厳選した北大路魯山人(1883~1959)の焼き物約50点が一堂に集結する。
「和食の天才」「美と食の巨人」と呼ばれる魯山人がとりわけ強い関心を寄せたのは「食」。料理を盛り付ける器にもこだわり、自ら作陶に向かったとされる。東京・赤坂にあった料亭「星岡茶寮」では、料理と食器に限らず、食事の環境づくりから料理人の指導にいたるまで一切を差配した。本展では、和食文化の発展に寄与した魯山人の表現世界を、陶芸作品に絞って紹介する。
また「Relay to Tokyo―継承と集積」は、横浜美術館主任学芸員の松永真太郎をキュレーターに迎え、7名のアーティスト・建築家による作品を紹介するもの。隈研吾は、美濃の織部茶碗に対するオマージュから、ゆがんだ繭のような形状を持つ「織部の茶室」の世界初公開バージョン《COCOON》を発表。現地の合板を用い、地元の学生参加によるワークショップ的な手法を取り入れながら、新たな茶室として制作する。
荒木悠は、アテネのパルテノン神殿と、アメリカとスコットランドの2ヶ所に建造されたそのレプリカをモチーフとした《複製神殿》(2016)を発表するほか、山本基はギリシャの塩を使って床面に絵画を描き、展覧会終了後は塩をギリシャの海に還すプロジェクトを計画。加えて本展には本城直季、今津景、竹川宣彰、パラモデル・ハヤシヤスヒコが参加する。