撮影ではなく「走査」。高谷史郎の個展「Topograph / Toposcan」が児玉画廊|天王洲で開催中

1984年からメディア・アーティストグループ「ダムタイプ」のメンバーとして活動し、個人でも作品やパフォーマンスを手がけてきたアーティスト・高谷史郎。その個展「Topograph / Toposcan」が、児玉画廊|天王洲で開催されている。会期は2020年1月18日まで。

高谷史郎 Topograph / La chambre claire 3 2013 提供=児玉画廊

 高谷史郎は1963年奈良県生まれ、京都市立芸術大学美術学部環境デザイン科卒業。84年からメディア・アーティストグループ「ダムタイプ」に創設メンバーとして参加し、以降ダムタイプのパフォーマンスやインスタレーションで映像、照明、グラフィック・デザイン、舞台装置デザインなどを担当した。

 そして98年からは、個人での制作を開始。カメラやプリズムなどの光学装置を用いた映像インスタレーションやパフォーマンスを手がけてきた。主な発表に、個展「高谷史郎 明るい部屋」(東京都写真美術館、2013)、坂本龍一・野村萬斎とのコラボレーションによる舞台公演『LIFE-WELL』(YCAM、2013)、ダンス公演『ST/LL』(新国立劇場、2018)などがある。

 そんな高谷の個展「Topograph / Toposcan」が、児玉画廊|天王洲で開催されている。会期は2020年1月18日まで。

 本展で高谷は、我々が写真や鏡について、絵画やCG、ときには自分のセルフイメージに比べてより真実らしい像であると考えていることに注目し、そこにある時間や歪みを顕在化させた作品群を発表。例えば《mirror type K2》は、徹底的に磨き上げられたプリズムによって、通常鏡像で映り込む自分自身の顔を正像で見ることができる作品だ。 

 また写真・映像作品は、どちらも空間を縦に走査することによって像を取得したもの。写真では、レンズであれば奥に行くにつれて生まれるはずの横幅の収縮が発生せず、いっぽう映像では、端の一列のピクセルが時間とともに固定され地層のように重なっていくことで走査の持つ時間性がより顕著に表れる。

 なお本展に寄せて、評論家・gnckがテキストを寄稿。全文は、ギャラリーの公式ウェブサイトで読むことができる。

編集部

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