現在放送中のNHK連続テレビ小説『なつぞら』。同作の登場人物である山田天陽は、画家・神田日勝がモチーフになっていることをご存知だろうか。
日勝は1937年東京生まれ。45年に空襲に見舞われ、一家で苦難を乗り越え北海道・十勝に入植する。日勝は東京藝術大学に進学した兄の影響で油彩を描き始め、56年には道内の美術展で《痩馬》が入選。以来、農業を続けながら画家の道を歩むこととなる。
農業と画業の両立は厳しいものだったが、日勝は次第にその評価を確立していく。同時代の抽象表現主義の動向にも反応し、新たな境地に踏み出そうとした矢先の70年、病気のため32歳の若さでこの世を去った。遺作となった《馬(絶筆・未完)》ではむき出しのベニヤに馬の半身が克明に描かれ、日勝の儚くも力強い生き様を物語っている。
「農民画家」と呼ばれることを嫌い、「農民である。画家である」と語っていた日勝。その展覧会「神田日勝 大地への筆触」が来年4月、東京ステーションギャラリーで開催されることが決定した。東京では40年ぶりの回顧展となる本展には、馬や牛を描いた代表作から、強烈な印象を残す最後の完成作《室内風景》まで多彩な作品が集結する。
なお本展は東京ステーションギャラリーの後、郷里の神田日勝記念美術館(2020年7月11日~9月6日)、北海道立近代美術館(2020年9月19日~11月8日)に巡回予定となっている。