彫刻家、クリスティアーネ・レーアが個展「12プリンツ」で新作版画を初公開。ドローイング、植物を用いた立体作品も

ドイツとイタリアを拠点とするアーティスト、クリスティアーネ・レーアの個展「12プリンツ」が、東京・日本橋のタグチファインアートで開催される。会期は2019年1月26日〜3月23日。

クリスティアーネ・レーア 無題 2019 エディション 30部 紙にカーボランダム

 クリスティアーネ・レーアは1965年ドイツ・ヴィースバーデン生まれの彫刻家。ボン大学で考古学と歴史学、マインツ大学で芸術教育学などを学んだのち、デュッセルドルフ美術大学に入学。96年にヤニス・クネリスより、マイスター・シューラーリン資格を取得した。現在はドイツとイタリアを拠点に活動を行っている。

 タンポポの綿毛を敷き詰めたクッションをはじめ、キヅタの種子を積み重ねた寺院や草の茎を寄り添わせたドーム、アザミの種子をヘアネットに詰め込んだ袋、針と馬の毛によって生み出された「あやとり」のような形態など、独自の世界観で作品を展開するレーア。形態や空間への関心をもとに、通常の彫刻作品からはかけ離れた素材を用いた立体作品を制作している。その独自の作風は高く評価され、2016年にピーノ・パスカーリ賞を受賞した。

 レーアは、素材や空間との対話を通じ、素材そのものが本来的に備えている構造や機能を見極め、それらが視覚的により増幅されるように再構築することをテーマとしてきた。その作品には、世界の背後にありながら、自然や有機物を成立させている数学的な法則や力、秩序、建築的な構造への探求心がうかがえる。

 近年は、ヴァンジ彫刻庭園美術館で個展「宙をつつむ」(2015)を開催したほか、「せいのもとで」(資生堂ギャラリー、2014)や「カオスモス5:一粒の砂に世界を見るように」(佐倉市立美術館、2017)といったグループ展にも参加するなど、日本でも精力的に作品を発表しているレーア。

 今回、東京・日本橋のタグチファインアートで開催される個展「12プリンツ」では、東京・調布の版画工房「エディションワークス」での滞在制作中に生み出されたエッチング、アクアチント、カーボランダムそれぞれ4種、合計12点の新作版画を初公開。

 加えてドローイング、植物を素材に用いた立体作品も展示される。彫刻作品と並行して制作されるドローイングは「“紙”という白い空間をオイルパステルや鉛筆によってどのように分割していくか」という彫刻的観点で描かれたものだという。

編集部

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