日本・スウェーデン外交関係樹立150周年を記念し、児童文学作家アストリッド・リンドグレーンの世界を紹介する展覧会「長くつ下のピッピの世界展 ~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~」が東京富士美術館にて2018年7月28日から開催される。
アストリッド・リンドグレーンは、スウェーデンを代表する国民的児童文学作家。その著書は全世界100ヶ国以上の言語に翻訳され、出版部数は総計1億6000万部にものぼる。その94年の生涯の中で多くの作品を生み出し、「子供の本の女王」とも呼ばれている存在だ。
スウェーデンのスモーランド地方の農場で生まれたリンドグレーン。その創作の原点は自然の中で過ごした子供時代にあるという。18歳で未婚の母となり、仕事と育児を両立させたリンドグレーンは、子供の人権を守り、不正に対して声をあげたオピニオンリーダーでもあった。
とくに、1978年にドイツ書店協会平和賞授賞式で行ったスピーチ「暴力は絶対だめ!」は議論を巻き起こし、翌79年にスウェーデンは子供に対する肉体的・精神的暴力、体罰を法的に禁止した最初の国となった。法制化のための様々な支援活動において、重要な役割を果たした作家でもある。
本展では、スウェーデン、デンマーク、エストニアなどから「長くつ下のピッピ」、「ロッタちゃん」、「やかまし村」シリーズ等の代表作品の原画、原稿、リンドグレーンの愛用品等約200 点が出品され、そのほとんどが日本初公開となる。
なかでも、リンドグレーンがタイプし、娘の10歳の誕生日に贈ったという「オリジナルピッピ」がスウェーデン国外では初の出展となるほか、05年「ユネスコの『世界の記憶』」に登録されたスウェーデン王立図書館所蔵作品を含む、貴重な原画は要注目だ。
また、本展のために制作される特別映像や、ピッピの住む「ごたごた荘」を、外観・室内とも絵本の設定そのままに再現した大型模型も登場。
リンドグレーン作品に描かれる、スウェーデンの生活文化、自然との共生、子育てといったテーマにも焦点が当てられる、親子で楽しめる展覧会となる。