小倉遊亀(1895~2000)は滋賀県大津市生まれ。一度は教職に就くが、絵に対する情熱たちがたく25歳で安田靫彦に師事、日本画家の道を歩みはじめる。31歳で院展に初入選、以後日本美術院を活動の場として105歳で亡くなるまで旺盛な制作をつづけた。
小倉の画風は日本画の伝統を尊重しつつも、同時代の女性風俗、静物などを得意とするもの。女性ならではの細やかな観察眼と感性でとらえられた日本画世界を表出させた。
画家の故郷にある滋賀県立近代美術館は国内最大規模の小倉遊亀コレクションを所蔵。本展では同館の全面的な協力のもと、画家の抱いた三つの愛―日本画への憧れ、身近なものに向けた眼差し、愛する家族の姿―を切り口に、初期から晩年にいたる画業の全貌を紹介する。