国・地域・ジャンルを横断して活動した「越境者」。阿部展也の展覧会が広島で開催

広島市現代美術館で展覧会「阿部展也ーあくなき越境者」が開催される。戦前戦後にかけて、世界を舞台に活動した作家・阿部展也を紹介する。会期は2018年3月23日〜5月20日。

阿部展也 花子 1949 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵

 阿部展也(1913〜71)は新潟県生まれの作家。独学で絵画を学び、瀧口修造との詩画集『妖精の距離』(1937)で若くして注目を集める。戦前戦後を通して、前衛、シュルレアリスム、アンフォルメル、幾何学的抽象など様々な表現で作品の発表を続けた。

 サンパウロ・ビエンナーレをはじめとする数々の国際展への出品、国際会議への参加など、その活動は国内にとどまらず、晩年にはイタリアへ移住し、作品制作のかたわら、海外の美術動向の紹介にも務めた。

阿部展也 風の受胎(『妖精の距離』より) 1937 新潟市美術館蔵

 本展では、その多様なキャリアを時期ごとに分け、「出発ー〈妖精の距離〉と前衛写真 1932-1941」「フィリピン従軍と戦後の再出発 1941-1947」「人間像の変容ー下落合のアトリエにて1948-1957」「技法の探求から「かたち」回帰へーエンコースティックを中心に1957-1967」「未完の「越境」1968-1971」の5章構成で紹介。

 戦前の貴重な作品を含む阿部の主要作品に加えて、雑誌や写真、下絵などの資料、さらに阿部が日本に紹介した海外作家を含む関連作家の作品を通して、国や地域、そしてジャンルを横断しつづけた「越境者」としての阿部の姿を紹介する。

阿部展也 飢え 1949 神奈川県立近代美術館蔵

 

編集部

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