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石田徹也とは何者か。5つのポイントからその作家像にせまる

日常生活で目にするものと身体が組み合わされたイメージを描画し、現実と非現実の境界を描きながら、現代の日本を生きる人々の孤独や不安を浮き彫りにしてきた日本の画家・石田徹也(1973〜2005)。31歳という若さでこの世を去った彼の作品は、海外オークションの場で高く評価されるほか、今年の9月には生誕50年を記念した個展がガゴシアン・ニューヨークで開催されるなど、グローバルシーンでも注目の的となっている。あらためてこの早逝の画家・石田徹也とは何者なのか。現在の評価も交えて静岡県立美術館学芸員・川谷承子が考察する。

文=川谷承子(静岡県立美術館学芸員)

石田徹也 飛べなくなった人 1996 板にアクリル 静岡県立美術館蔵

石田徹也とは何者か

 2023年9月12日、ニューヨークのチェルシーにあるガゴシアンギャラリーで石田徹也(1973〜2005)の個展「TETSUYA ISHIDA―My Anxious Self(不安な自分)」が開幕した。ガゴシアンは欧米を中心に世界の都市に複数の支店を持つ世界有数のメガギャラリーとして知られており、13年にガゴシアン香港で、石田の初となる海外個展「Tetsuya Ishida」が開催されて以来、2度目となる。計画は以前より持ち上がっていたが、新型コロナウィルスの影響により延期となっていた。本年は石田徹也が生まれて50年の節目の年にあたり、今回の個展は、10年ぶりの満を持しての旗艦店での開催となった。

ガゴシアンNY「TETSUYA ISHIDA―My Anxious Self(不安な自分)」展示風景より

 この展覧会は、ニューヨークのハイラインアートプログラムのディレクター兼チーフキュレーターで、2022年に第59回ヴェネツィア・ビエンナーレのアーティスティックディレクターを務めた、チェチリア・アレマーニがキュレーションを担当している。また、展覧会にあわせて、先行研究を踏まえた詳細な論文が掲載された図録が刊行され、会期中にはアレマーニがモデレーターとなり、アレクサンドラ・モンロー(ソロモン・R・グッゲンハイム美術館グローバル・アーツ上級キュレーター)と依田富子(ハーバード大学Takashima日本人文学教授)とのトークイベント開かれるなど、海外でもっとも包括的に石田徹也を紹介する機会となっている。

 ここでは、海外での評価が進む画家・石田徹也の現在を理解するために知っておきたいことを5つのポイントから紹介したい。

1. 国内での反響と検証

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