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写真は撮らない? 美術鑑賞を充実させるための10のヒント

年間多数の展覧会に訪れるアートライター・齋藤久嗣が、美術鑑賞のお悩みを解決。さらに展覧会を楽しむための10のヒントをお届けします。

文=齋藤久嗣

(C)Photo AC

 美術館に足を運んだ際、集中して鑑賞できなかったり、わからなくてモヤモヤしたり、事前に期待していたほど楽しめなかった、という経験はないでしょうか? こうした不完全燃焼感は、美術館での行動をほんの少し工夫することで解消することができます。そこで今回は、美術館で実りある鑑賞体験を得るために、知っておくと役に立つ10のヒントをご紹介します。

①閉館30分前は、展示作品を独り占めできるゴールデンタイム

2019年1月20日「ムンク展―共鳴する魂の叫び」(東京都美術館)最終日の午後17時頃撮影 撮影=著者

 国宝級の文化財や巨匠の代表作が揃う大型展では、誰もが混雑を避けようと、穴場の時間帯を探そうとします。そうすると、まず思いつくのは朝一番の時間帯です。しかし、開門前から並んだ来館者が一斉に入場するため、開館直後は意外にも混雑します。また、物販が充実した百貨店主催の展覧会では、朝一で限定グッズを狙う来館者と競合することもあります。

 そこでお勧めの時間帯が、「閉館30分前」です。閉館前は、どんな人気展であっても鑑賞者数が急減するので、展示室内が一気に開けて快適に作品と向き合えるようになります。多くの美術館では、閉館30分前を最終入館時刻としているので、それ以降に新規の入館者は発生しません。入り口付近からどんどん鑑賞者がいなくなっていきます。そこがまさに狙い目となるのです。

 ベストな入館タイミングは、閉館60~90分前です。仮に17時閉館だとすると、15時30分以降に入場するのです。すでに入館者のピークは過ぎ、館内の人数が減ってきていますので、まず先にザーッと作品を観ておきましょう。そして、閉館30分前を迎えてから、どうしても観たかった作品の展示場所に戻って、鑑賞に集中するのです。広々とした展示室を独り占めするのは病みつきになります。閉館30分前の時間にしっかり展示室にとどまる、という一工夫を入れるだけで、憧れの名画にぐっと近づいて観ることができるのです。

展示室冒頭の作品は“飛ばす”のもアリ

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