INSIGHT - 2022.12.22「ドクメンタ15」のタリン・パディ作品から考える対話の可能性・不可能性──アジア・日本の木版画運動の現在地点からハレンバード・オスト会場でのタリン・パディ作品の展示風景黒幕が掛けられたタリン・パディの巨大バナー《人民の正義》。18日の開幕後に黒幕が掛けられ、21日の夜に撤去された ©getty images「ルル・ハウス(ruruHaus)」の地下壁面に描かれたタイムライン 撮影=筆者(以下、とくに記載がない場合は筆者撮影) 前庭には無数の段ボール製ワヤン。2点とも《ワヤン・カルドゥス》(段ボールにアクリル絵具、2022)バナーは《Burning Hunger Becoming a Hammer and All Are Equal》(キャンバスにアクリル絵具、2018) ※1999年にオリジナルがつくられ、結成10周年に作品集の表紙にも使われたレプリカを制作。20周年に再び制作されたバナーを展示入り口を入ってすぐの壁面。モニターの上部に結成時の声明文が掛けられた。黒地に稲が描かれた旗が彼らのシンボルマーク学生運動でバナーを使用した様子をとらえたニュース映像入り口エリアからメインの展示空間へ1階壁面のバナー作品。右から《Stand on the Power of Food Self-sufficiency》(ミクスト・メディア、キャンバスにアクリル絵具、300×500cm、2009)、《Scarecrow Festival Banner 》(キャンバスにアクリル絵具、2009)、《Land, Water, Earth: Call Me Mother》(キャンバスにアクリル絵具、2014)※ジャワ州中部で工業化が進むバタンで、火力発電所の建設に反対し制作。地元の漁師村に2週間滞在した天井から吊るされた《Everyone is Entitled to a Decent Livehood》(キャンバスにアクリル絵具、290×485cm、2005)1階正面奥のバナー。《First They Come for Them, Then They Came for Us》 (キャンバスにアクリル絵具、2022) ※ドクメンタ15のためにつくられた新作。これまでの作品のイメージを集約した壁面右は、ラピンド泥噴出災害被害者支援のための作品シリーズ(2010) ※2006年から長期間続く、東ジャワ州シドアルジョ県で発生した泥噴出災害のためのキャンペーン。泥噴出のきっかけは石油・天然ガス採掘会社のラピンド・ブランタス社にあると言われたジョグジャカルタ特別州クロンプロゴの砂鉄採掘と中部ジャワ州バタンの火力発電所反対のためのポスターシリーズ(2009)かかしコンテストのためのバナー(キャンバスにアクリル絵具、1999)かかしコンテストの様子1965年、大量虐殺事件40周年記念共同制作ポスターシリーズプロジェクト。左から《スハルトによる65年の罪を完全にあばく》、《インドネシア1965、40年の沈黙、40年の不公平》、《1965年の悲劇に対する国家的責任を認めよ》共産主義を意味する「鎌と槌」の印をつけられた人々が処刑されるイメージが描かれる。《インドネシア1965、40年の沈黙、40年の不公平》ディテールタリン・パディ《Independent Land and Farmers Give Life to All》(布に木版、122×242cm、 2003) ドクメンタ15での展示風景 2008年に本作の別エディションがIRAに届いたインドネシア・バリ島で活躍するデンパサール・コレクティブとのコラボレーション作品《SORIDARITAS》完成時の様子(2019年9月) 写真提供=A3BC『亞際自組織木刻圖繪』(Inter-Asia Self-organized Woodcut Mapping)1号表紙、2019年9月フリデリチアヌム美術館の「GUDKSUL」で行われていたトークイベント(2022年9月10日)12 / 22 記事にもどる 編集部