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2021.12.31

鳥獣戯画からゴッホまで、首都圏大型展覧会の2021年入場者数を振り返る

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言などがありながらも、いくつもの大型展覧会が開催された2021年。多くの展覧会が日時指定予約制を導入(または推奨)するなか、入場者数はどのような結果となったのか?

 
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 春の緊急事態宣言では多くの美術館・博物館が休館になったものの、多くの展覧会が開催された2021年。コロナ禍により、大型展覧会では日時指定予約制を導入することがスタンダードになりつつある。コロナ以前の2019年では、入場者数トップ10の展覧会が30万人〜60万人を記録するなか、今年の数字はどうだったのか? 首都圏の大規模美術館を対象に、ランキング形式ではなく、会期順に振り返る。*文中、各展覧の後ろには(会場/会期/開催日数/日時指定予約制または予約を推奨)を記載。また動員数の後ろには動員数を開催日数で割った1日平均動員数(小数点以下切り捨て)を記載した。

 まず、昨年7月から今年の年始にまたがったSTARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」(森美術館/2020年7月31日〜1月3日/157日間/開幕当初は日時指定予約制、のちに予約推奨)は森美術館単独チケットで15万46人(955人/日)を動員。村上隆や草間彌生、奈良美智など日本を代表するスターアーティストを一同に集めたきらびやかな展覧会は記憶に新しい。

 同じく昨年から今年にかけて開催された石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」(東京都現代美術館/2020年11月14日〜2月14日/76日間/予約を推奨)は8万6915人(1143人/日)を動員。石岡の初の大規模回顧展として、会期末には行列ができるなど若い世代を中心に、注目を集めた。

「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展示風景より Photo by Kenji Morita

 緊急事態宣言によって途中閉幕した佐藤可士和展」(国立新美術館/2月3日〜4月24日/70日間/予約を推奨)は15万1466人(2163人/日)。同じく緊急事態宣言によって会期途中で閉幕したあやしい絵展」(東京国立近代美術館/3月23日〜5月16日/30日間/予約を推奨)は4万9061人(1635人/日)となった。ともに1日あたりの入場者数は高い水準であり、臨時休館が大きく響いたかたちだ。

 開幕したものの、その直後に臨時休館となった特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」(東京国立博物館/4月13日〜6月20日 [4月25日~5月31日は臨時休館]/31日間/日時指定予約制)は12万9349人(4172人/日)。1日あたりの動員数は4000人以上となっており、あらためて鳥獣戯画の人気の高さを示すものとなった。

 こちらも開幕直後に臨時休館となり、再開が危ぶまれたイサム・ノグチ 発見の道」(東京都美術館/4月24日~8月29日 [4月25日~5月31日は臨時休館]/82日間/予約を推奨)は11万3312人(1381人/日)を動員。1ヶ月におよぶ臨時休館がなければ15万人以上となっただろう。

 ファッションをテーマとした展覧会のなかでは過去最大規模のものとなったファッション イン ジャパン 1945-2020―流行と社会」(国立新美術館/6月9日〜9月6日/78日間/予約を推奨)は10万5110人(1347人/日)。見応えのある展示デザインと膨大な資料数がインパクトを残した。

 東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となった国立競技場の設計に携わった建築家・隈研吾の個展隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」(東京国立近代美術館/6月18日〜9月26日/90日間/予約を推奨)は7万2507人(805人/日)となった。

「ファッション イン ジャパン 1945-2020―流行と社会」展より

 聖徳太子の1400年遠忌を記念した特別展「聖徳太子と法隆寺」(東京国立博物館/7月13日〜9月5日/48日間/日時指定予約制)は6万9640人(1450人/日)。なお、同じく東博の伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」(東京国立博物館/10月12日〜11月21日/36日間/日時指定予約制)は6万3977人(1777人/日)。ともに日本美術の根強い人気を裏付けている。

 愛知からの巡回となったGENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」(東京都現代美術館/7月17日〜10月17日/83日/予約を推奨)は8万270人(967人/日)。横尾のキャリアを一望する大規模個展として、緊急事態宣言解除後の数週間では行列も見られた。

「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」展より、《滝のインスタレーション》(2019-21)

 日本で根強い人気があるゴッホ。今年のゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」(東京都美術館、9月18日~12月12日、78日間、日時指定予約制)は30万7750人(3945人/日)となった。これは、2018年に同館で開催された「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」(37万31人)に匹敵する数字であり、コロナ禍におけるブロックバスター展としては驚異的な数字だ。

「ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」より、フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》(1890)

 アニメーション監督・庵野秀明の世界初の美術館個展となった庵野秀明展」(国立新美術館/10月1日〜12月19日/70日間/予約を推奨)は14万5131人(2073人/日)。1日平均では2000人を超えており、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開も相まって、本展にも注目が集まったと言えるだろう。

「庵野秀明展」より