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INSIGHT - 2018.2.20

岡崎京子『リバーズ・エッジ』が実写映画化。1990年代を生きる若者たちの青春の欲望と焦燥感を描く

『pink』『ヘルタースケルター』などで知られる漫画家・岡崎京子の『リバーズ・エッジ』が、『世界の中心で、愛をさけぶ』『パレード』などを手がけてきた行定勲監督により実写映画化。2月16日より、TOHOシネマズ新宿ほかで全国ロードショーを開始した。主人公の女子高生・若草ハルナを二階堂ふみが演じる。

映画『リバーズ・エッジ』より©2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

映画『リバーズ・エッジ』より©2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

 1993~94年に雑誌『CUTiE』で連載された『リバーズ・エッジ』は、90年代を舞台とし、繰り返されるリアルなセックスと暴力に囲まれ、生きている実感を失った若者たちの心の揺らぎを描写。20年以上経過した現在も、圧倒的な支持を集める作品となっている。

映画『リバーズ・エッジ』より©2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

 ストーリーは、主人公ハルナ(二階堂ふみ)が彼氏である観音崎(上杉柊平)が執拗に苛める同級生の山田(吉沢亮)を助けたことをきっかけに、山田に夜の河原へと誘われ、放置された「死体」を目にしたことから展開していく。「これを見ると勇気が出るんだ」と言う山田に絶句するハルナ。さらに、この死体の秘密を共有しているという後輩でモデルのこずえ(SUMIRE)が現れ、3人は奇妙な友情で結ばれていく。

 ゲイであることを隠し、街では売春する山田と、山田に過激な愛情を募らせるカンナ(森川葵)、暴力の衝動を抑えられない観音崎、過食嘔吐を繰り返すこずえ、不特定多数の人間と体の関係を重ねるルミ(土居志央梨)。それぞれが爆発寸前の感情を抱えて過ごす、閉ざされた日常の中で物語は大胆に加速していく。

映画『リバーズ・エッジ』より©2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

 行定勲監督は、原作に対して大きなリスペクトがあり、実写化には大きな抵抗があったという。かつ本原作はマンガ作品であり、ビジュアルなどを含め、すべての要素をきっちりと再現するだけの映画を目指してしまうことを恐れたが、「岡崎京子の作品の場合、純文学を映画化するのに近い感覚があったんです。というのも『リバーズ・エッジ』は自分が生きていた90年代が舞台であり、これほど時代の空気を落とし込んだ、というより暴いた作品もないのではないかと思ったから」と語った。

 本作でとくに目を引いたのは、本編に所々挿入される登場人物たちの「インタビューシーン」。登場人物と同世代のキャストの肉体から発せられる若者特有の空気感を引き出す目的で挿入されたものだが、インタビュアーの質問に時折声をつまらせながらも素直に回答する彼らの姿は、各キャラクターの持つ感情・思考の繊細なニュアンスをよりリアルに、立体的に浮かび上がらせることに成功している。

映画『リバーズ・エッジ』より©2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

 バブル崩壊後の世紀末を退廃的に、しかしあふれる生命力を持って生きる若者の姿を果敢に描ききった本作。原作ファンはもとより、現代においてもなお独特の閉塞感抱える若者にとって、注目すべき作品だろう。