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現代美術からダンスまで。
Netflixで見るアートムービー5本

スマートフォンやパソコンで、いつでも見たい動画コンテンツを視聴できることから近年注目を集めるストリーミングサービス。今回はNetflix(ネットフリックス)から、おすすめのアートムービー5本を紹介する。中には配信期限つきの作品もあるため、気になるものは早めのチェックをおすすめしたい。

『アンビリーバブル号の財宝』より

美しい映像とダンスが生々しく迫る 『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』

映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』より

 コンテンポラリーダンス界の巨匠、ピナ・バウシュが率いた「ヴッパタール舞踊団」によるダンスと、ダンサーのモノローグ、生前のピナの姿が交差する『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』。ピナの20年来の友人であるヴィム・ヴェンダースが、ピナの逝去などを乗り越え完成させた本作は、通常の劇場に加え、広大な自然、プール、モノレールの中といった様々なロケーションでダンスが繰り広げられる。

 来日公演は即日ソールドアウトということも珍しくない、ヴッパタール舞踊団の公演。そんな作品が、美しい映像と音楽と共にいつでもどこでも高画質で見られる貴重な一作と言えるだろう。

映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』

監督・脚本・製作:ヴィム・ヴェンダース
出演:ピナ・バウシュ、ヴッパタール舞踊団のダンサー
上映時間:104分

アーティスト一家の悲哀とユーモア 『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』

映画『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版) 』より

 ニューヨークで暮らす年老いたアーティストの父親のもとに集結した一家。しかし気難しくわがままな父に対する子供たちの葛藤、兄弟間のわだかまりは消えず、様々な騒動がコミカルかつシリアスに巻き起こっていく。

 本作の見どころは、ほころびながらも「改訂」されていく家族関係に加え、キュレーターや、華々しい活躍を見せるアーティスト仲間との人間関係、そしてMoMA、ホイットニー美術館といった美術館でのシーンだ。ホイットニー美術館のバックヤードをはじめ、ふだんは見る機会があまりないロケーションが要所要所に現れるため、画面の隅々まで注目してほしい。

映画『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』

監督・脚本:ノア・バームバック
出演:アダム・サンドラー、エマ・トンプソン、ベン・スティラー、エリザベス・マーヴェル、ダスティン・ホフマンほか
上映時間:104分

贋作師の本当の狙いとは? 『美術館を手玉にとった男』

映画『美術館を手玉にとった男』より

 2011年、アメリカの多くの美術館で展示されていた大量の絵画が贋作であることが発覚し、一大騒動に。それらの贋作を制作したのがマーク・ランディスだ。このドキュメンタリーの主人公でもあるランディスは15世紀のイコンから、ピカソ、マグリット、ディズニーまで、幅広い作品を独自の方法で模写。しかし、時に資産家に、ある時には神父に扮しながら美術館を渡り歩き、作品を「無償」で寄贈していたため、罪に問われることはなかった。

 「私には他にやることがない」「私は人の尊厳を踏みにじるような行為にとても敏感だ」と、終始まったりと静かな口調で語るランディス。精神の病を抱えながら、60歳(撮影当時)になってもなお父母の存在に縛られるランディスにとって、制作は生きるために不可欠な営みであるようにも見えてくる。騙された美術関係者たちが、贋作にまつわるエピソードを明け透けに語るインタビューも興味深い。

映画『美術館を手玉にとった男』

監督:サム・カルマン、ジェニファー・グラウスマン
出演:マーク・ランディス、マシュー・レイニンガー、アーロン・コーワン、ジョン・ギャッパーほか
上映時間:97分

謎の天才写真家の生涯 『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』

映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』より

 2007年、シカゴの青年ジョン・マルーフが、オークションで大量の古い写真のネガフィルムを落札。その一部を写真共有サイトで紹介すると、世界中から反響が起こり、各地で写真展が開催されることに。写真を撮影したのは、かつてニューヨークで乳母・家政婦として働いていたヴィヴィアン・マイヤー。このドキュメンタリーでは、15万点以上もの作品を残しながらも、1枚も公表することなくこの世を去ったマイヤーの生涯に光を当てる。

 生前を知る者たちがインタビュー内で語るのは、マイヤーが故郷・フランスでいち早くスナップ写真を撮影していたこと、殺人事件や婦女暴行といった新聞記事を収集していた日々、勤務先の子供を畜産場へと連れて行くなど、一風変わった素顔。そのように「孤独な変わり者」と評されるマイヤーと、優しく温かみ溢れる写真作品を丁寧に紹介していくことで、マイヤーの本質がしだいに明らかになっていく。

映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』

監督:ジョン・マルーフ、チャーリー・シスケル
出演:ヴィヴィアン・マイヤー、ジョン・マルーフ、ティム・ロスほか
上映時間:83分

ダミアン・ハーストの「ドキュメンタリー」? 『アンビリーバブル号の財宝』

映画『アンビリーバブル号の財宝』より

 1〜2世紀頃に沈没した巨大な船が2008年、アフリカ東岸の海底から発見。その難破船から見つかったのは、ブロンズや大理石の像、武装具、ジュエリーといった文化遺産や財宝だった。

 2017年のヴェネチア・ビエンナーレで個展「Treasures from the WRECK of the Unbelievable(アンビリーバブル号の財宝)」を開催したダミアン・ハースト。本展のプロセスがとらえられたのが、この映像作品『アンビリーバブル号の財宝』だ。これまで美術作品を通して賛否両論を巻き起こしてきたハーストならではの本作は、ぜひ前情報を入れることなく鑑賞してほしい。

映画『アンビリーバブル号の財宝』

監督:サム・ホブキンソン
出演:ダミアン・ハーストほか
上映時間:82分

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