EXHIBITIONS

表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち

ヴァシリー・カンディンスキー 商人たちの到着 1905 宮城県美術館蔵

ヴァシリー・カンディンスキー 商人たちの到着 1905 宮城県美術館蔵

ヴァシリー・カンディンスキー 活気ある安定 1937 宮城県美術館蔵

ジョルジュ・ルオー 降誕 1953 ジョルジュ・ルオー財団蔵

パウル・クレー 橋の傍らの三軒の家 1922 宮城県美術館蔵

 色とかたちを軸に、抽象絵画の創始者とされるヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)と、20世紀フランス最大の宗教画家ジョルジュ・ルオー(1871-1958)を紹介する。

 20世紀初頭、ルオーが重視したパリのサロン・ドートンヌにカンディンスキーが出品を続け、カンディンスキー率いるミュンヘン新芸術家協会の展覧会にてルオーが展示を行うという時期があった。それぞれがフォーヴィスムとドイツ表現主義の拠点となった展覧会で、互いの運動への関心を深めていたことがうかがえる。

 やがてカンディンスキーは色彩について説いた内的必然性に導かれて抽象絵画に至り、彼と交流を深めていたパウル・クレー(1879-1940)も独自の抽象世界を築いた。ルオーもまた、自身の内的必然性に従ってキリスト教の信仰に根差した独自の絵画を追求することとなる。

 本展では、カンディンスキーやクレー、ドイツ表現主義絵画の国内有数のコレクションを誇る宮城県美術館やパリのルオー財団が所蔵する油彩画を中心に、水彩画、版画、デッサン、書籍など貴重な作品約130点を展示。カンディンスキーを中心とするドイツ表現主義とルオーが共鳴するさまを探る初の試みとなる。