EXHIBITIONS

フランソワ・ポンポン展

動物を愛した彫刻家

2022.04.16 - 06.12

フランソワ・ポンポン シロクマ 1923-1933 白色大理石 群馬県立館林美術館蔵

フランソワ・ポンポン ヒグマ 1918-1926 ブロンズ 群馬県立館林美術館蔵

フランソワ・ポンポン 大黒豹 1930-1931 ブロンズ 群馬県立館林美術館蔵

フランソワ・ポンポン ペリカン 1924 ブロンズ ディジョン美術館蔵(パリ、国立自然史博物館より寄託)
© Musée des Beaux-Arts de Dijon/François Jay

フランソワ・ポンポン 錦鶏(キンケイ) 1933 磨かれたブロンズ ディジョン美術館蔵(パリ、国立自然史博物館より寄託)
© Musée des Beaux-Arts de Dijon/François Jay

「鳩を抱くポンポン」 写真(撮影年不詳) 群馬県立館林美術館蔵

「フランソワ・ポンポン展 動物を愛した彫刻家」が山梨県立美術館で開催される。フランスの彫刻家フランソワ・ポンポン(1855〜1933)の国内初となる回顧展は、本展が最終会場となる。

 フランス中部ブルゴーニュ地方の町ソーリューに生まれたポンポンは、10代の頃から木工家具職人の父や大理石職人のもとで見習いとして働き、彫刻の素養を身につけた。20歳でパリに出てからは、ロダンなど有力彫刻家たちの下彫り職人として従事。1889年のパリ万博などの機会に自作の人物彫刻を出品し、彫刻家として大成することを目指すも、人物彫刻では決定的な評価が得られない状況が長く続いていた。

 そんななか転機が訪れたのは1906年、51歳の時。動物彫刻を初めて公に発表すると、ポンポンはこの分野に活路を見出した。動物の姿や動きの特徴を的確に掴み、細部を省略して表面を磨き上げ、簡潔で流麗な形状へと洗練を重ねていくことで独自のスタイルを築くと、1922年(当時67歳)に発表した等身大の《シロクマ》の彫刻が好評を博した。そして当時の「アール・デコ」と呼ばれるデザイン様式の流行により、ポンポンのモダンでシンプルな造形は彫刻界だけでなく、装飾芸術の領域でも高い評価を得ることになる。

 本展では、ポンポンの出身地ブルゴーニュ地方のディジョン美術館、ソーリューのフランソワ・ポンポン美術館、群馬県立館林美術館から約90点の作品が集結。キャリアの最初期の人物彫刻から、かたちの洗練を極めた最晩年の動物彫刻まで、動物彫刻の表現を一新したその作風の変遷とポンポンの生涯をたどる。