EXHIBITIONS

けずる絵、ひっかく絵

2022.04.09 - 06.12

井上三綱 駆けだした牛 1956 平塚市美術館蔵

 平塚市美術館は、「けずる、ひっかく」の表現手法を用いた作品の特集展「けずる絵、ひっかく絵」を開催する。

 本展では、絵具や支持体を削り、あるいは、引っかいた痕跡を画面に残して仕上げた作家に注目し、所蔵品のなかから、井上三綱、鳥海青児、内田あぐり、岡村桂三郎の作品約40点を展示。加えて、藤沢市在住の日本画家・山内若菜の作品を紹介する。

 井上と鳥海は、戦前から洋画家として活動し、欧米と日本の対比や国際的な美術の潮流のなかで日本の作家としての特性をいかに打ち出すかという課題を抱えていた。いっぽう、戦後生まれの内田は人間存在の本質に迫ることに、岡村は人間と自然との関係性に、山内は傷ついた動物と自身の心を重ね合わせることに制作の要点がある。

 本展は、各作家の問題意識に基づいて「けずる、ひっかく」という手法が用いられ、それが作家の表現様式として実を結んでいる点に着目する。