ヤクモタロウ「ZEN〜Beyond the Pop〜」

　ヤクモタロウはアートサンプリングという独自の手法で作品を手がけるアーティスト。その個展「ZEN〜Beyond the Pop〜」がbetween the artsで開催されている。

　ヤクモタロウは1976年東京都生まれ。画商の父と彫金師の母を持ち、幼い頃から現代美術にふれて育ったヤクモは、2000年初頭より父とともに世界各地のアートフェアをまわり、国内外のアートシーンが変化する過程を実体験してきた。「ニューヨーク滞在中、街中に乱立する様々な看板やネオンサインを見ているうちに、その質感や存在感が現代アートのように感じた」と語るヤクモの作品は、装飾するよりも取り除くことを、複雑にするよりも簡潔に描くことで、「禅」に通じる禁欲の精神を鑑賞者へ導く。

「ZEN 〜Beyond the Pop〜」と題した本展でヤクモは、自身の精神性を踏まえ、世界共通で慣れ親しまれたモチーフやアイコンに、金・銀・黒のテーマカラーをあしらった新作9点を発表。ポップカルチャーの向こう側に、「禅」が意味する静けさや混じり気のない意識が存在する、両極端なさまを表現する。

　なお本企画は、2021年に開催された一般社団法人日本アートテック協会主催のアートコンペティション「100人10（てん）」において、between the arts賞を授与した作家7名による個展シリーズの第1弾となる。