澁澤龍彦 ドラコニアの地平

　翻訳、評論、エッセー、小説と、多岐にわたって作品を執筆したフランス文学者の澁澤龍彦。没後30年の節目に、今も幅広い読者を持つ作家の創作と足跡をたどる。
　
　マルキ・ド・サドをはじめとする異色の文学を出発点とする澁澤。マニエリスムやシュルレアリスムに似た文学や美術、思想を紹介し、1960年代以降の日本の芸術文化に影響を与えた。

　本展では、澁澤独自の文学表現活動を「澁澤スタイル」と位置づけ、代表作の『高丘親王航海記』、エッセー集『夢の宇宙誌』や、300点を超える草稿・原稿・創作メモ類の自筆資料、愛蔵の美術品やオブジェ、和洋の蔵書などから、表現活動の背景と博物誌的な世界の魅力に迫る。